✅目次 リンク集 医療関係(さいたま)
👉訓練された免疫状態とは
BCGを接種しておくと
単球からIL-1βなどの
サイトカインの分泌が恒常的に
誘導されるようになります
(=「訓練された免疫状態」と名付けられています)
このため、その後の各種ウイルス感染
に対しても、 IL-1β
が効率的に分泌されるようになり
抵抗力が向上します。
Artsらの研究では、BCG接種による
黄熱病ウイルスに対する防御効果を
確認しています。
BCG接種後の方が、効率的にIL-1β産生されるようになります。
※ 新型コロナウイルス感染症の予防策としてBCGの治験が欧米にて
実施されています
Arts, Cell Host Microbe 2018 オランダ
👉BCGインデックスが高いほど 死亡率が低い
社会的環境の類似したヨーロッパ諸国に
おけるBCG普及率とCOVID-19パンデミック 初期1ヶ月間の死亡率の比較
BCG普及率が10%増加するとCOVID-19死亡率が10.4%減少する
BCGインデックスが高いほど 死亡率が低いことが示されています。
Escobar, PNAS 2020.7.9
👉COVID-19の死亡率に影響する因子
①HDI(人間開発指数)
②65歳以上の人口の割合
③都市化
この3つの因子は
COVID-19の死亡率と
一貫して正の相関がありました。
②65歳以上の人口の割合
③都市化
この3つの因子は
COVID-19の死亡率と
一貫して正の相関がありました。
=都市化・生活環境の清潔化の
進んだ国でCOVID-19の死亡率が著しく高い。
Escobar, PNAS 2020.7.9
進んだ国でCOVID-19の死亡率が著しく高い。
Escobar, PNAS 2020.7.9
※ 「筋肉を鍛えること」と、「免疫を鍛えること」はよく似ています。
両者とも、適度な刺激が必要です。清潔すぎる環境下では、適度な免疫刺激が入りません。
👉 BCGの接種時期
乳児期:「訓練された免疫」が生涯与えられる 年長以降:「訓練された免疫」が与えられないか短い しかし、短期間(例 6~12か月)の保護効果である としても 医療従事者等や
肥満・糖尿病等の既往のある人において
重度のCOVID-19を改善する可能性がある
Escobar, PNAS 2020.7.9
👉 COVID-19のスラムパラドックス
スラム地域のSARS-CoV-2の抗体陽性率が高く、
COVID-19死亡率は非常に低いことが示されています。
例)インド 大ムンバイ市
・SARS-CoV-2抗体陽性率
スラム地域 57% ⇒ 抗体がしっかり産生され、ウイルスが排除されています。
非スラム地域 16%
・スラム地域の死亡率は、わずか 0.05-0.1% でした。
ブラジルのスラム街では、COVID-19は、蔓延はありませんでした。
Bousquet, Allergy 2020 Aug 6
※ スラム地域では、普段から、様々な感染刺激を受けていることにより、免疫が活性化していると考えられます。
👉 「広範な防御効果」
BCGワクチン接種が
結核菌感染防御 以外に
「広範な防御効果」
を持っているという十分な疫学的証拠があります
Escobar, PNAS 2020.7.9論文から引用
「広範な防御効果」
を持っているという十分な疫学的証拠があります
Escobar, PNAS 2020.7.9論文から引用
※ なお、日本の乾燥BCGワクチンの
適応は「結核の予防」のみです。
適応は「結核の予防」のみです。
👉 訓練された免疫
👉BCGの多面的効果
BCGのワクチン接種を受けて
自然免疫メカニズムが
「訓練された免疫」によって
促進された健康な個人では、
・ウイルス血症の減少、
・ウイルス除去の迅速化、
・その後の炎症の減少、
・症状の減少、
・回復の迅速化
につながる可能性があります
Moorlag Cell Rep Med Aug 25 2020
👉「訓練された免疫」の誘導は
教習所で、車の運転を習うことに似ています。
菌体 or ウイルスをまるごと使用したワクチン(BCGなど)による
「訓練された免疫」の誘導は
SARS-CoV-2に対する感受性と重症度を軽減するための
重要なツールとなる可能性があります。
Netea Cell 2020
※ 車の運転・未習得ですと 暴走の可能性が高まることに例えられます。👉「訓練された免疫」の誘導について
最もよく研究されているワクチンは、BCGです。
BCG接種を受けた個人は、
BCGを受けていない個人と比較して
気道感染症が73%減少していました 。
(Nemes, 2018 NEJM)
Netea, Cell 2020 181 969👉 BCGは危険か?
日本のメディアは、BCGは、乳児用であり、
成人に接種するのは、「危険性がある」と
報じ、定期予防接種以外の接種を抑制しました
2020.3頃
オランダのグループは、過去5年間に
成人に対しBCGを接種したグループと
対照群について、COVID-19症状と安全性を
調査しました。
Moorlag Cell Rep Med 8.25 2020
👉 BCG接種が自然免疫反応を増強することにより
有害な影響を与える可能性があるのでは という懸念の答えは?
オランダの研究は、 過去5年以内のBCGワクチン接種は、 COVID-19パンデミック中の 何らかの症状(sickness)の増加や 症状の重症度とは 関連がないことを示しました。 Moorlag Cell Rep Med2020👉 BCG接種とCOVID-19の症状
・BCG接種者(過去5年以内)266名(成人)
・対照群164名
COVID-19パンデミックの間(2020.2-4月)
における両群の症状を比較した。
・「何らかの症状(sickness)有り」の比率は、
BCG群にて低下しました(調整オッズ比0.58 P<0.05)
・極度の倦怠感 BCG群にて低下しました
Moorlag Cell Rep Med 2020
👉 健康保持におけるBCGの新たな価値
を見出そうとする動きがあります
過去10年間、 ・種々の自己免疫疾患、 ・アレルギー疾患、 ・小児期の感染症に対する適応免疫反応の誘導 などを目的・対象として BCGを再導入する臨床試験が急増しています Kühtreiber, NPJ Vaccines 2018 3 23👉BCGの接種時期
乳児期:「訓練された免疫」が生涯与えられる 年長以降:「訓練された免疫」が与えられないか短い しかし、短期間(例 6~12か月)の保護効果であるとしても 医療従事者等や肥満・糖尿病等の既往のある人において 重度のCOVID-19を改善する可能性がある Escobar, PNAS 2020.7.9👉 BCGの他、生ポリオワクチンにも可能性があります
Netea, Cell 2020 181 969 生ポリオワクチンは、 病原性がときに生じるため 日本では、2012年で中止されました。 ※ BCGやかつての生ポリオ ⇒ 日本で、COVID-19の重症者が少ない「ファクターX」である 可能性があります👉 BCGと気管支喘息
韓国(BCG 生下時及び、12歳でツ反陰性者に接種) の二次紹介病院・呼吸器科における研究 成人において、BCG瘢痕のサイズと 気管支喘息の有病率は、逆相関しました(P=0.01) =BCG瘢痕サイズが小さい ⇒ 気管支喘息を発症しやすくなります Park Int J Med Sc 2015 12 668👉 多発性硬化症(神経の自己免疫疾患)
最初は単一の臨床症状を呈します(=CIS) やがて、臨床的に確実な多発性硬化症(MS)へと進展します CISの段階でBCGを接種すると ⇒ MSへの進展を抑えることが示されました。 (60か月の観察 ハザード比0.52 p<0.05) ※ 18か月以降は、疾患修飾療法(DMT)あり Ristori Neurology 2014 82 41👉 多発性硬化症(MS)と衛生仮説
・鞭虫(寄生虫)の有病率が高い ⇒ MS有病率↓
・兄弟が多い⇒ MS有病率↓
・ピロリ菌の血清陽性率が、MSで有意に低い
清潔過ぎる生活環境により、
人生の早い段階で、免疫活性化が不十分ですと
⇒自己抗原に対する 異常な免疫応答が生ずる可能性があります Jakimovski, Vaccines2020 8 50
👉 1型糖尿病患者(平均罹患期間19年)にBCGを接種(4週間隔で2回)
・8年間フォロー ・プラセボ対照 2重盲検比較試験 3年後に、BCG群のみ HbA1cが低下し、低レベル(HbA1c 6.65%)で維持した。 =3年目以降、血糖値が長期的に低下しました。 マサチューセッツ総合病院 Kühtreiber, NPJ Vaccines 2018👉 BCG誘発性の有酸素解糖
BCGは高血糖の原因に関係なく
血糖値を下げることができる可能性があります。 ストレプトゾトシン投与マウス (膵β細胞破壊 糖尿病モデル) に BCG(事前投与) ⇒ 高血糖を軽減しました。 ※ BCGだけでは、健康なマウスの 体重・血糖に影響は、ありませんでした。 NPJ Vaccines 2018 3 23
血糖値を下げることができる可能性があります。 ストレプトゾトシン投与マウス (膵β細胞破壊 糖尿病モデル) に BCG(事前投与) ⇒ 高血糖を軽減しました。 ※ BCGだけでは、健康なマウスの 体重・血糖に影響は、ありませんでした。 NPJ Vaccines 2018 3 23
👉 BCG ⇒ T制御性細胞↑⇒ 自己免疫を予防 or 遅延
BCG:T細胞における
6つの主要なT制御性遺伝子(Foxp3など)すべてが
8週間までに
脱メチル化⇒免疫系がリセットされ、
⇒これらT制御性遺伝子のmRNAの発現が増強されました。
Kühtreiber, NPJ Vaccines 2018 3 2
👉 1型糖尿病⇒BCG⇒ 血糖コントロールが改善
BCG: 細胞代謝を
酸化的リン酸化⇒初期の好気性解糖 に切り替えます。
この変化は、徐々に生じ、
細胞が調節された方法で
大量のブドウ糖を消費して
安全に、高血糖⇒正常(近い)血糖レベルへの
全身代謝シフトが起きます。 Kühtreiber, NPJ Vaccines 2018
酸化的リン酸化⇒初期の好気性解糖 に切り替えます。
この変化は、徐々に生じ、
細胞が調節された方法で
大量のブドウ糖を消費して
安全に、高血糖⇒正常(近い)血糖レベルへの
全身代謝シフトが起きます。 Kühtreiber, NPJ Vaccines 2018
👉 BCGとアルツハイマー病
BCG接種率が高い国(図中の灰色と黄グループ):
⇒ アルツハイマー病(AD)の有病率が低かった
BCG接種率が低い国(青とオレンジ)
・青:ADの有病率が高い国々(米国、英国など)
・オレンジ:ADの有病率の低い国々(スロバキアなど)
に分かれました。
Gofri, Med hypothe 2019 123 95⇒ アルツハイマー病(AD)の有病率が低かった
👉 健常人にBCGワクチン接種する
と
① 自然免疫細胞が微生物に反応する能力
(サイトカイン産生能で評価)
は高まります
② 同時に、循環血中の炎症性タンパク濃度により
測定される全身性炎症は、抑制されました
BCGによる全身性炎症の抑制効果は、
男性でより顕著でした
Koeken, J Clin Invest 2020 130 5591
👉 BCGワクチン接種後の循環炎症マーカーの減少
は、
と関連すると 考えられます。
Koeken, J Clin Invest 2020 130 5591
👉 BCGとアルファ‐1‐アンチトリプシン
アルファ‐1‐アンチトリプシン(A1AT)の
血中濃度が高い
⇒ SARS-CoV-2感染↓・COVID-19重症度↓
BCG接種⇒訓練された免疫の誘導⇒A1ATの血中濃度↑(上昇します)
Cirovic Cell Host Microbe 2020 28 322
※ A1AT: 種々の炎症時に血中に増加する
急性相反応物質の一つです。血中濃度が高い
⇒ SARS-CoV-2感染↓・COVID-19重症度↓
👉 アルファ‐1‐アンチトリプシンの抗ウイルス活性
アルファ‐1‐アンチトリプシン(A1AT)
抗ウイルスおよび抗炎症特性を持っている
ヒトの血液中に存在している
A1ATは、
SARS-CoV-2感染とCOVID-19病態において
最も重要な2つのプロテアーゼである
膜貫通型セリンプロテアーゼ2(TMPRSS2)と
ADAM17を阻害します。
de Loyola, Rev Med Virol 2020 Aug 26抗ウイルスおよび抗炎症特性を持っている
ヒトの血液中に存在している
👉 COVID-19とACE2受容体数
炎症の上昇は、
SARS-CoV-2が細胞に感染する際に結合する
宿主ACE2受容体数の増加と関連する
ACE2受容体数:
心血管疾患、糖尿病、喫煙、炎症性喘息などの炎症状態で↑
T H 2応答(寄生虫感染など)は、
ACE2受容体数を減少させる
Robins, Evol Med Public Health 2020 Oct 20
👉 蠕虫(回虫など)抗原
は、
TH2や制御性T細胞を
活性化する
インターロイキン(IL)-12の産生を抑制し、
T H 1経路の誘導を遮断することにより、
炎症を積極的に抑制する
Robins Evol Med Public Health 2020 Oct 20
👉 衛生仮説・旧友仮説
近年の医療、衛生、衛生の進歩⇒
「旧友」(共生細菌、寄生虫など)への曝露↓
炎症誘発性経路に傾く免疫調節不全↑
⇒
高収入の地域(=先進国)
慢性炎症性疾患
(アレルギー、自己免疫疾患、心臓血管疾患)
の 高頻度の発症に寄与する
Robins Evol Med Public Health 2020
👉訓練された免疫
BCG ⇒ 自然免疫細胞における
事実上の免疫学的記憶の誘導は、
「訓練された免疫」と呼ばれている
BCGに加えて、
カンジダアルビカンス(真菌)の弱毒化株のような
他のいくつかの病原体による感染も、
自然免疫細胞における記憶反応を誘導する
Basak BioEssays Mar 2021
👉BCGの効果の持続する期間
ブラジルやインドのように
出生時におけるBCG接種が盛んな国でも、
BCGの出生時接種を受けた
高齢のCOVID-19患者の死亡率は高い
なぜ?
出生時にBCGを接種した人でも
10〜12歳を過ぎるとBCGの効果が低下し始め
40歳になるとほとんど効果がなくなる
Basak BioEssays 2021
👉成人と高齢者
では
幼少期のBCG接種による
自然免疫記憶を引き出す
メカニズムが失われている
⇒ SARS-CoV-2感染症の重症化
につながっている
健康な成人や高齢者に
BCGワクチンを繰り返し接種する
⇒
「訓練された免疫」を誘導し、
COVID-19に対する防御をもたらす可能性
Basak BioEssays 2021
👉結核以外の感染に対する保護効果
BCG ⇒ 「訓練された免疫」による
結核以外の感染に対する保護効果
・乳児の急性下気道感染症の発生率↓
Stensballe 2005
・高齢者の急性下気道感染症の発生率↓
Wardhana 2011
・ヒトへの実験的ウイルス(YFV)感染
に対する保護効果
Arts 2018
Basak BioEssays 2021
👉ヒトパピローマウイルスに対する効果
BCGは
・結核以外の感染症に対する予防手段
・非特異的な免疫調節療法としても大きな
可能性
ヒトパピローマウイルスによる
イボを有する小児を
対象としたランダム化プラセボ対照臨床試験では
BCGを投与した被験者の65%が
対照群と比較して完全な回復を示した
Salem 2013
Basak BioEssays 2021
👉「訓練された免疫」
結核以外の感染に対する
BCGの非特異的保護効果は、
= リンパ球系細胞ではなく
自然免疫細胞を「訓練」することに
よって生じる
自然免疫細胞が本来持っている
再感染に対する防御能力は、
過去の別の病原体(例BCG)による
刺激によって誘発される
Basak BioEssays Mar 2021
👉BCG ⇒ 制御性T細胞(Treg)の誘導
幾つかの研究(マウスモデル)は、
Tregが
・気道の炎症
・アレルギー
・急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
を鎮めることを示している
BCGは
炎症反応を誘発する
(=訓練された免疫の誘導)
以外にも、さまざまな機序で
Tregの増殖を誘発しうる
Basak BioEssays 2021
👉BCGは、免疫系にブレーキのかけ方も教える
新生児における
BCGワクチン接種は、
CD4 + CD25 + T細胞(=制御性細胞)による
IL-10(抑制性サイトカインの一つ)産生を誘導する
※ BCGは、免疫系にブレーキのかけ方も教える
Akkoc Pediatr Allergy Immunol 2010
Basak BioEssays Mar 2021
👉強力な免疫システムを持つ健康な人
早期の自然免疫応答が生じ、
SARS-CoV-2ウイルスを効果的に除去する
・高齢者
・I型IFNシグナル伝達の抑制
・無制限のウイルス増殖
・DAMPやケモカインの過剰産生など
免疫応答が遅延している患者は
過炎症や組織損傷↑ ⇒ ARDS
Basak BioEssays Mar 2021
👉BCGは、COVID-19に対する潜在的な予防免疫療法
であり、
・訓練された免疫
・免疫調節
の両方を誘発し、
患者の病態生理学的状態に応じて免疫応答を
操作することにより、
疾患の重症度を軽減するのに役立つと
考えられる
Basak BioEssays Mar 2021👉一次防御の復活と、過炎症の抑制
COVID-19の治療を成功させるためには、
SARS-CoV-2ウイルスの
負荷を取り除くための
一次防御の復活と、
過炎症の抑制
の両方が必要である。
BCGは、病気のステージと病理学的状態に応じて、
両方のターゲットに働きかける
2方向性ではあるが時空間的に作用することができる
Basak BioEssays 2021
👉2つのメカニズム
BCGは
COVID-19に対し
2つのメカニズム
① アクセル
制御された炎症誘発性経路の誘導
(「訓練された免疫」とCD4 + T細胞の早期活性化)
を介して
保護を与えることができる
② ブレーキ
過炎症状態の間
抗炎症または寛容原性経路を誘発して
過剰な炎症を鎮める
Basak BioEssays Mar 2021
👉予防的保護
軽症や中等症の場合
BCGは訓練された免疫を誘導
⇒予防的保護を提供
訓練された自然免疫細胞
⇒IL-1β、TNF-α、IFN-γなどの
炎症性サイトカインを
局所的かつ制御された産生
⇒抗ウイルス応答が改善
⇒
ウイルス血症の減少
ウイルスの迅速な除去
炎症の抑制
につながる
Basak BioEssays 2021
👉1型IFNシグナルを回復
COVID-19
1型インターフェロン(IFN-αなど)産生↓
BCGは
1型IFNシグナルを回復させ
必要な抗ウイルス反応を
再構築するのに役立つ可能性
Kativhuら(2016)は
BCGワクチンの無細胞上清が
ヒト新生児形質細胞樹状細胞(pDC)における
IFN-α産生を誘導できることを示した
Basak BioEssays Mar 2021
👉重症のCOVID-19患者では、
制御性T細胞数が減少
している。
BCGは、CD8 + 制御性T細胞の
抑制された活性を
活性化および促進する
Boer ProsOne 2014 Clin Vaccine Immunol 2015 ⇒ 免疫寛容をもたらし、
重症のCOVID-19患者の過炎症を
軽減することができる可能性 Basak BioEssays Mar 2021
抑制された活性を
活性化および促進する
Boer ProsOne 2014 Clin Vaccine Immunol 2015 ⇒ 免疫寛容をもたらし、
重症のCOVID-19患者の過炎症を
軽減することができる可能性 Basak BioEssays Mar 2021
👉骨髄由来サプレッサー細胞
BCGの効果を
持続させる役割を果たしている
可能性のあるもう1種類の細胞は、
「骨髄由来サプレッサー細胞」(MDSC)である。
BCG⇒ MDSCを活性化し、
エフェクターT細胞(炎症を促進するT細胞)
の機能を抑制する
⇒ 炎症や敗血症を抑制する
Martino 2010
Basak BioEssays Mar 2021
👉衛生仮説
ヒトの免疫システムの進化の大部分は
環境中の多数の非病原性微生物に
繰り返し感染する
ことにより
獲得されてきた
衛生の向上 = 環境における微生物群の排除
⇒ 自己免疫疾患やアレルギー疾患の
劇的な増加と強固に関連している
衛生仮説 Strachan 1989
Moulson Immunobiol 226 152052 2021
👉過去40年間
に
自己免疫疾患やアレルギー疾患の罹患率は
先進国で大幅に増加した 広範な研究により
微生物種がヒトの免疫反応を操作する
顕著な能力が明らかになっている 興味深いのは
微生物の刺激が
ヒトの免疫系の適切な発達と機能に
不可欠である点である Moulson Immunobiol 226 152052 2021
自己免疫疾患やアレルギー疾患の罹患率は
先進国で大幅に増加した 広範な研究により
微生物種がヒトの免疫反応を操作する
顕著な能力が明らかになっている 興味深いのは
微生物の刺激が
ヒトの免疫系の適切な発達と機能に
不可欠である点である Moulson Immunobiol 226 152052 2021
👉免疫機能の平衡モデル
免疫系は
相互に抑制するメカニズムによって
反応のバランスを維持する
動的に制御されたシステムである
免疫系の片方の腕が刺激される
(例 1型ヘルパーT細胞活性化)と
競合する応答(=制御性T細胞など)
によって
ブレーキをかけようとする
Moulson Immunobiol 2021
👉Th1活性化
は、
・Th1の直接刺激
・Th2反応の抑制 のいずれかによって達成される ⇒
・抗ウイルス作用の発揮
・抗腫瘍効果 を生じる この原理による使用例 ・化膿レンサ球菌にてがん免疫↑
・BCGワクチン⇒ 非浸潤性膀胱がん Moulson Immunobiol 226 152052 2021
・Th1の直接刺激
・Th2反応の抑制 のいずれかによって達成される ⇒
・抗ウイルス作用の発揮
・抗腫瘍効果 を生じる この原理による使用例 ・化膿レンサ球菌にてがん免疫↑
・BCGワクチン⇒ 非浸潤性膀胱がん Moulson Immunobiol 226 152052 2021
👉 ①Th1の直接刺激
または、②Th2反応の抑制 のいずれかによって達成される ⇒ ・抗ウイルス作用の発揮 ・抗腫瘍効果 を生じる この原理による使用例 ・化膿レンサ球菌にてがん免疫↑ ・BCGワクチン⇒ 非浸潤性膀胱がん Moulson Immunobiol 226 152052 2021👉BCGなどによるTh1刺激
⇒ 自己免疫疾患や
アレルギー疾患を軽減しうる
このアプローチは
免疫エフェクター分子(ヒスタミン、TNF-αなど)の
抑制とは対照的に
免疫バランスを回復させ
免疫機能を強化するという点で
現在使用されている抗炎症薬よりも
理論的に優れている
Moulson Immunobiol 2021
👉形質細胞様樹状細胞(pDC)と
骨髄性樹状細胞(cDC)の絶対数の減少
COVID-19
・リンパ球減少症
・NK細胞およびCD8 + T細胞による
抗ウイルス効果の喪失
(既報)
加えて
末梢血中の形質細胞様樹状細胞(pDC)と
骨髄性樹状細胞(cDC)の絶対数の減少
が認められた。
※ 抗原提示に重要な骨髄細胞サブセットが
有意に影響を受けている
Peruzzi Immonl Dec 14 2020
👉訓練された免疫の誘導因子
として提唱されているワクチン
(COVID-19の潜在的治療法) ・BCG (世界中で15以上のランダム化試験進行中) ・BCGベースのVPM1002ワクチン ・弱毒化生MTBVACワクチン ・経口ポリオワクチン ・MMRワクチン (Franklin 2020) Moulson, Immunobiol 226 152052 2021👉ロサンゼルスの医療従事者
・BCG接種歴あり 1836名
・接種歴なし 4275名
COVID-19関連症状
発熱
乾性咳
息切れ
筋痛
疲労感
味・臭いを感じない
いずれも、BCG接種歴あり群の方が、
有意に頻度が低かった
Nova-Rivas JCI 131 e145157 2021
👉ロサンゼルスの医療従事者
接種したワクチンの種類と 抗SARS-CoV-2IgG検査結果の関係 ワクチンの接種歴 ・BCG ・髄膜炎菌ワクチン ・肺炎球菌ワクチン ・インフルエンザワクチン BCGの接種歴がある場合のみ 抗SARS-CoV-2IgG陽性率が有意に低下した (感染防御効果があった) Nova-Rivas 2021👉高齢者(65歳以上)へのBCG投与
は、感染症を防ぐか?
二重盲検
プラセボまたはBCGを投与し、12か月間追跡した。 新たな感染症の発症
・プラセボ 42.3%
・BCG 25.0% (ハザード比 0.55 P=0.039) 特にウイルス性の呼吸器感染症に防御効果を示した G-Bourboulis Cell 183 315 2020
プラセボまたはBCGを投与し、12か月間追跡した。 新たな感染症の発症
・プラセボ 42.3%
・BCG 25.0% (ハザード比 0.55 P=0.039) 特にウイルス性の呼吸器感染症に防御効果を示した G-Bourboulis Cell 183 315 2020
👉高齢者(65歳以上)へのBCG投与:危険か?
二重盲検試験
重篤な有害事象
・プラセボ 42.3%
・BCG 23.6% P=0.055 非重篤な有害事象
・プラセボ 25.6%
・BCG 36.1% P=0.215 いずれの有害事象もBCGに関連なし ※ 高齢者へのBCG接種は、安全である G-Bourboulis Cell 183 315 2020
・プラセボ 42.3%
・BCG 23.6% P=0.055 非重篤な有害事象
・プラセボ 25.6%
・BCG 36.1% P=0.215 いずれの有害事象もBCGに関連なし ※ 高齢者へのBCG接種は、安全である G-Bourboulis Cell 183 315 2020
👉ACTIVATE試験
高齢者の感染を防ぐための
BCGワクチン接種による
「訓練された免疫応答の強化」
に関するランダム化臨床試験
SARS-CoV-2に感染しやすい高齢者を
保護する必要性から圧力が高まり
⇒中間解析
高齢者を新たな感染症(特に呼吸器感染症)
の予防に大きな効果があった
G-Bourboulis 2020
👉ACTIVATE試験
BCGを接種した高齢者では、 非接種者に比べて 感染症(主にウイルス性の呼吸器感染症) の発生率が 有意に低下した(BCG接種群のHRは0.21) これは、インドネシアや日本で行われた研究で BCG接種⇒呼吸器感染症が70〜80%減少した 結果と一致する G-Bourboulis Cell 183 315 2020👉ACTIVATE試験
BCGワクチン接種者の
循環血中の 炎症性タンパク質(IL-6やIL-18など)の濃度が、 ワクチン接種前と比較して 増加していない ことが観察された。 =定常状態の炎症レベルは、 BCGによって増加しない G-Bourboulis Cell 183 315 2020👉麻疹・ムンプス・風疹(MMR)ワクチン
は、
理論的にCOVID-19に対する予防効果があると
考えられている MMR II (メルク社)の接種を受けたことのある
COVID-19 患者の重症度と
MMR IgG 力価の関係が
調査された。 ⇒ ムンプス抗体価が高いほど、
重症度が低かった。 Gold mBio 11 e02628 2020
理論的にCOVID-19に対する予防効果があると
考えられている MMR II (メルク社)の接種を受けたことのある
COVID-19 患者の重症度と
MMR IgG 力価の関係が
調査された。 ⇒ ムンプス抗体価が高いほど、
重症度が低かった。 Gold mBio 11 e02628 2020
👉14歳
・MMRIIワクチンを接種後、
おたふくかぜの抗体価が
134 AU/ml を下回る(=陰性となる)平均年齢は
14 歳である
・CDC データ(米国)は、
実際に 14 歳が
COVID-19 陽性症例の発生率と死亡リスクの両方が
急激に上昇し始めるピボットポイントである
Gold mBio 11 e02628 2020
👉乳児と幼児の比較
米国では、
生後12カ月未満の乳児で診断された
COVID-19の症例数は、
2歳児の症例数よりも65%多い
この事実は
幼児が初めてMMR IIワクチンの接種を受けるのが
生後12~15ヶ月であることから、
「MMR II接種 ⇒ COVID-19発症抑制」
の関連性を裏付ける(可能性)
Gold mBio 11 e02628 2020
👉MMRII接種後
麻疹・ムンプス・風疹の各IgG抗体価と
COVID-19重症度 症状スコアとの比較
ムンプスIgG抗体価のみ
・COVID-19重症度と有意に反比例
・COVID-19症状スコアと有意に反比例
していた
※ 米国は、おたくふかぜ単独ワクチンはない
3種混合ワクチンの形にて接種される
Gold mBio 2020
👉「訓練された自然免疫」は持続期間が短い
BCGに関連する「訓練された自然免疫」の研究では
感染に対する異種保護
(例えば上気道ウイルス感染症予防)効果が
3ヶ月~1年間(最長5年)持続する
ことが分かっている
「訓練された自然免疫」は、
抗原特異的な獲得免疫の記憶よりも
可逆的で短命(持続期間が短い)と考えられる
Gold mBio 2020
すずひろクリニック(さいたま市)