カラギーナン鼻スプレーを医師として個人輸入した背景

 目次 リンク集 医療関係(さいたま)


カラギーナン鼻スプレーを医師として個人輸入した背景

👉海藻由来の硫酸化多糖類 

は、
SARS-CoVに対する抗ウイルス治療薬になる可能性が推測されています。
海藻由来の硫酸化多糖類:エンベロープウイルスの複製を阻害するためです。
そのような海藻には
・紅藻(成分: レクチングリフィスシンとフィココロイドカラギーナン)
・緑藻(成分: ウルバン)
・褐色藻(成分: フコイダン)
があります。
 
アイリッシュモスまたはカラギーナン(自然に共存する紅色の海藻)には、
多数の医療用途があります。(一部は1830年代から使用されています)。

実際、アイルランドでは、風邪、気管支炎、慢性に、これらの海藻が対抗する伝統的な薬用茶や咳止め薬を作るために、現在でも使用されています。

・粘液を取り除くのに特に有用です
・抗ウイルス特性があります

Pereira J Appl Phycol 2020 Jun 1 


👉 紅藻由来のカラギーナン鼻スプレー

は、 
⇒ 幅広い抗ウイルス効果が示されています

ウイルスが確認された風邪に対し
疾患の期間が短縮
・ウイルスのクリアランスが増加
・症状の再発が減少

・鼻腔用スプレーBisolviral(ビソルバイラル)®
(ベーリンガー・インゲルハイム社製 独)

・またはProSens鼻スプレー(Gebro Pharma社製 独)

は、海外(欧州等)で発売されて、使用されている薬剤です。

主成分 イオタ・カラギーナン

Pereira, J Appl Phycol 2020 Jun 1 


👉SARS-CoV2は、感染後、最初の10日間は、口腔・咽頭や、鼻腔で増殖します。

この間、通常、無症候性のまま経過します(その間、高い感染性はあります)。

ウイルスはアクティブな複製により、この間に、主として鼻粘膜、口腔粘膜、咽頭粘膜に蓄積します。

理論的には、口腔・咽頭で増殖するウイルスに対しては、イソジンガーグルなどを用いたがいが有効と考えられます⇒ ウイルスの増殖を抑える可能性考えられます。


※ 比較:インフルエンザは、潜伏期1~3日でありうがいの効果は弱いとされています

Wolfel  Nature  2020 581 465

Herrera Clin Oral Invest 2020 24 2925

一方、主として鼻腔や上咽頭でウイルスが増殖するいわゆる「鼻かぜ」状態のときには、日本では、現在、あまり有効な手立てはありません。(いわゆる「かぜ薬」は、対症療法薬が主体です。IgAやリゾチームを含む鼻水を無理に止めるのは、かえってマイナスとされます)。

  COVID-19が重症化した際には、レムデシビルの使用が承認されています。
デキサメサゾン バリシチニブも使用されています。抗体カクテルも承認されました。(アビガンは、承認申請中です。)
   重症化すれば、このような承認された薬剤は、ありますが、初期にウイルスが増殖する期間には対抗する手段に乏しいのが現状です(特に鼻腔・上咽頭内のウイルス増殖に対して)。

👉カラギーナン鼻スプレー

は、一般的なウイルスが確認された風邪に対し

疾患の期間が短縮する
・ウイルスのクリアランスが増加する
・症状の再発が減少する

ことが確認された薬剤です。

 👉風邪に対するランダム化二重盲検プラセボ対照試験

 カラギーナン点鼻薬の使用⇒ 鼻腔液中のウイルス量が有意に減少しました 風邪ウイルスが確認され、研究プロトコルに準拠している風邪患者は カラギーナンで治療した場合、病気の期間が短く、風邪の症状がより早く軽減しました (ランダム化二重盲検プラセボ対照試験) Ludwig Respir Res 14 124 2013 

 👉 SARS-CoV-2ウイルスに対する効果(培養細胞)

 6 µg / mLという低濃度のイオタ・カラギーナン
(カラギーナン鼻スプレーの主成分: 紅藻由来)が、培養Vero細胞において
SARS-CoV-2感染を阻害することが示されています(実験室のデータです) Bansal, bioRxiv 2020 8.19 ビソルバイラルのイオタ・カラギーナンの濃度は、1.2 mg/mL (=1,200 µg / mL)です。
 
※ ご注意 SARS-CoV2に対するヒトにおける臨床試験はこれまで報告がありません。日本では、未承認の薬剤です。

2021年7月現在、鼻腔内・上咽頭で増殖するウイルスに対して、有効な手段がありません。このため欧州で一般薬として使用されているカラギーナン鼻スプレーを、医師として緊急個人輸入し、ご希望の方に、院内にてお分けすることにしました。

 👉インフルエンザAウイルスに対する効果(動物実験)

致死量のインフルエンザAウイルスに感染したマウスに、感染後48時間以内にイオタ・カラギーナンを点鼻すると、オセルタミビルで治療したマウスと同様に強力な防御が得られたことが示されています(動物実験のデータ)。 Leibbrandt, PLOS ONE Dec14 2020
 

👉ヒトライノウイルスに対する効果

ヒトライノウイルスは、一般的な風邪の主な原因です。 イオタ・カラギーナンは、主に細胞へのビリオン(細胞外のウイルスの状態)の結合・侵入を防ぐことにより、ライノウイルス感染の強力な阻害剤として作用することが示されています(培養細胞によるデータ)。 Grassauer, Virol J Sep 26 2008

鼻かぜの症状を感じたら、原因ウイルスが何であっても、できるだけ早々にカラギーナン鼻スプレーの点鼻(1日3回以上)を開始することは、一つの選択肢です。
 

 👉ラムダ・カラギーナン(λ-GGN)

インフルエンザウイルスと SARS-CoV-2に対する 抗ウイルス活性 蛍ルシフェラーゼレポーター遺伝子を持つ 偽ウイルスを作成 ⇒ 培養Vero細胞に添加した λ-GGNは、濃度依存的に それぞれのウイルスの細胞への侵入を 抑制した Jang SciRep 11 821 2021 










現在、医療従事者向けに、米国でCOVID-19予防のためのイオタ・カラギーナン鼻スプレーの二重盲検比較臨床試験が実施されています。

👉イオタカラギーナン

・SARS-CoV-2スパイク偽型レンチウイルス(SSPL) ・患者由来SARS-CoV-2(複製能力のある) に対するin vitroデータ ⇒ イオタカラギーナンの投与が SARS-CoV-2感染の 効果的かつ安全な 予防または治療である可能性が示唆される M-Kruz PLoS One 16 2021










👉 イオタカラギーナン点鼻薬 臨床試験をレビュー

イオタカラギーナン点鼻薬(プラセボ対照)
に関する4つの臨床試験をレビューした

プラセボと比較し
強力な抗ウイルス活性と
良好な安全性プロファイルを持っている

※ 鼻粘膜への上皮細胞のウイルス侵入を
減らすことができる物理的バリアとして働く

Bichiri, Med Pharm Rep 94 28 2021

👉風邪に対する抗ウイルス治療法

風邪に対する抗ウイルス治療法の開発で
最も困難なことの一つは
「病原体の種類が複数ある」点

特定のウイルスファミリーだけを対象とすると
風邪のうちの一定の割合にしか効果がない

⇒ ウイルスの受容体や宿主細胞の受容体を阻害する
抗ウイルス薬の欠点の一つである

Bichiri Med Pharm Rep 2021

👉 機械的障壁を提供


風邪には様々なウイルスが関与
⇒ 抗ウイルス治療法の開発には困難が伴う

すべての一般的な風邪ウイルスに
共通する1つの要因がある
=特定の「宿主細胞受容体」に
何らかの形で到達する必要がある点

⇒ ある種の機械的障壁を提供することが
効果的な戦略となる可能性

Bichiri, Med Pharm Rep2021

👉 物理的なバリア

カラギーナンは、
特定の種の紅藻類から得られる多糖類の総称

イオタ・カラギーナンの抗ウイルス作用は
宿主の相互作用によるものではなく
物理的なバリアを構築して
ウイルスの細胞への結合や侵入を防ぐことよる

⇒ カラギーナン鼻スプレーとして使用

Bichiri, Med Pharm Rep94 28 2021


👉 かぜに対する効果(プラセボ対照)

かぜの初期に
1日3回・4日間
イオタカラギーナン鼻スプレーで治療された
かぜ患者は、
ウイルス量が劇的に減少し
ほぼ完全に減少した

プラセボ対照群:
鼻のウイルス量
(ライノ、コロナ、パラインフルエンザ)
がほぼ6倍に
増加した(RT-PCRによる定量)

Eccles 2010

Bichiri, Med Pharm Rep 2021

👉 小児への効果

風邪症状を呈した
小児153名(1~18歳)に
7日間イオタカラギーナン鼻スプレーを投与した

・症状を有意には緩和しなかった(第2~7日目まで)
・症状消失までの期間が短縮した
(7.6日対9.4日,p=0.038)
・鼻汁中のウイルス量が有意に減少した(p=0.026)

Fazekas 2012

Bichiri Med Pharm 2021

2021年10月30日

👉カラギーナン鼻スプレー

多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験 対象 COVID-19患者のケアを行う病院職員 394名  ・実薬とプラセボ 1:1 ・21日間 1日4回投与 COVID19の発生率 実薬群 1.0% プラセボ群 5.0%  オッズ比 0.19 p=0.03 ※ 実薬で有意に↓ Figueroa, medRxiv 2021


2021年10月29日

👉カラギーナン鼻腔内スプレー(続き)

無作為化プラセボ対照試験メタアナリシス ・実薬 45人 ・プラセボ 43人 古いタイプのコロナウイルス(OC43 or 229E)による 風邪症状 横軸 薬剤使用の経過日数 縦軸 症状がある頻度の推移  ※ 実薬の方が 早く症状↓ Hemilä, Pharmacol Res Perspect 2021















2021年10月28日

👉カラギーナン鼻腔内スプレー

2つの無作為化プラセボ対照試験のメタアナリシス 風邪からの回復率を 54%増加させた(p = 0.003) ・多様な風邪ウイルス群に効果がある ・2つの古いコロナウイルスに効果があった ⇒ COVID-19に効果があると推測される Hemilä, Pharmacol Res Perspect 9:e00810 2021





カラギーナン鼻スプレーを万一の備えて手元に備えておきたい方に、本趣旨をよくご理解いただいた上で、院内にて対面でお分けすることにしました。ご希望の方には、説明文書をご一読の上、ご署名をいただいた上でお分けしています。

Carragellose®(イオタ・カラギーナン)とは?



 












 
すずひろクリニック(さいたま市)