新型コロナ対策 栄養・食事・サプリなど
新型コロナウイルス感染症対策として、世界中で、さまざまな試みや案が論文として提案されています。記載されている論文(一部)のエッセンスをまとめてみました。
※ 免責事項 あくまでも論文のご紹介です。見解は、それぞれの著者の見解です。
紹介者としましては、「何か少しでもご参考になる点があれば」というスタンスです。何か取り入れようと思われる場合には、当該の論文をしっかりお読みになった上で、自己責任にてお願いいたします。
◎ 発酵食品・キャベツ⇒ COVID-19の死亡率↓
東アジア、中央ヨーロッパ、バルカン半島など COVID-19死亡率が 非常に低い国では 大量の発酵食品を食べている という共通の特徴がある。 ヨーロッパ諸国では 発酵野菜またはキャベツ摂取量が 死亡率の低さに関連していた。 Bousquet Allergy 2020 Aug 6◎ 発酵食品・キャベツ 効く理由(推定)
キャベツは、スルフォラファンの 前駆体グルコラファニンを含有している ①乳酸菌 ②スルフォラファン は、 転写因子Nrf2を活性化する ⇒ 活性酸素種↓ IL-1とIL-6↓ Bousquet, Allergy 2020 Aug 6
◎ 発酵野菜とアブラナ属(キャベツなど)の野菜
は、
グルコラファニンを放出する ⇒ 植物自体 または腸内細菌によって スルフォラファンに変換される ⇒ Nrf2が活性化される スルフォラファンは 他の天然栄養素とともに COVID-19に対する 治療的価値があることが示唆される
Bousquet, Allergy 2020 Aug 6
◎ 発酵
は、新石器時代に導入され、
人類の生存に不可欠であった。 現代の生活により 発酵食品の摂取量が減っていくにつれ 腸内細菌叢(マイクロバイオーム)は 劇的に変化した。 ⇒ SARS-CoV-2に感染しやすくなるか、 より重症になる要因となったと推測される Bousquet, Allergy 2020 Aug 6
◎ COVID-19の死亡率: イタリア国内で大きな相違がある
北部イタリアで死亡率高い 南部イタリアで死亡率低い ・地中海式食事 ・生産者と消費者の間の距離が短い (=食品サプライチェーンが短い ※=泥付き野菜を食べられる ) ⇒ 低い死亡率に寄与している可能性がある Bousquet, Allergy 2020 Aug 6◎ 高齢者のCOVID-19対策
(一案)
Nrf2は、肺傷害や内皮傷害に対し、保護に働く
Nrf2活性は年齢とともに低下する
⇒ 高齢者は酸化ストレスが媒介する病気に
かかりやすくする
発酵食品(乳酸菌)やスルフォラファンを多く摂ると
⇒ Nrf2が活性化する
Bousquet, Allergy 2020 Aug 6◎ 食事・栄養からみた感染症対策1
最適な免疫応答は、 感染を防ぐための適切な食事と栄養に依存する 低蛋白 ⇒ 抗体産生↓ビタミンA↓、亜鉛↓ ⇒ 感染リスク↑
高い抗炎症能力と抗酸化能力を持つ:
ビタミンC、ビタミンE、カロチノイド、ポリフェノール
Iddir, Nutrients 2020 12 1562
ヒトにおけるコロナウイルスの阻害に
男性の入院は
女性を約50%上回っている
重症SARS-CoV-2感染に対する
男性の感受性は著しく高い
ICU入室数 女性1:男性 2~4
致死率 1~1.2-1.4
Ciabattini, Semin Immunopathol 2020 Nov 6
Wadman, Science Sep 8 2020
◎ 食事・栄養からみた感染症(COVID-19など)対策2
ビタミンDは、 ACE2とAGTR1(アンジオテンシンII受容体タイプ1) の結合を促進する ⇒ ACE2に付着して細胞に侵入する SARS-CoV-2ウイルス粒子の数を減らす Iddir, Nutrients 2020 12 1562◎ SARS-CoV-2感染患者780例を含む後ろ向き研究
① 既往症があり、 ② ビタミンD濃度が正常域を下回る 高齢男性の症例: 死亡するオッズ(可能性)が ほぼ13倍高かった(強く相関していた) Raharusun(インドネシア) SSRN 2020 Iddir, Nutrients 2020 12 1562◎ フィンランドやノルウェーなどの北欧諸国
ビタミンDの強化が必須 、または ビタミンDの摂取量が多い ⇒ ・欧州で最も高いビタミンDレベルを示す ・COVID死亡率が低い イタリアとスペインの高齢者 高い日光曝露にも拘わらず ビタミンDレベルがはるかに低く COVID死亡率が高い Iddir, Nutrients 2020 12 1562◎ 低亜鉛状態⇒ ウイルス感染のリスク↑
遊離型の亜鉛は、 ライノウイルス複製などに 直接的な抗ウイルス効果を示す 亜鉛は ・ジンクフィンガー転写因子の重要な補因子 ・SODなどの抗酸化防御に関与する酵素の補因子 ・細胞の成長と免疫細胞の分化に不可欠 Iddir, Nutrients 2020 12 1562◎ 腸内細菌叢:食物繊維⇒発酵により短鎖脂肪酸産生⇒抗炎症効果
短鎖脂肪酸は 単球におけるIL-12産生↓ IL-10産生↑ ⇒ TNFα↓ IL-1↓ 一酸化窒素↓ 短鎖脂肪酸 ⇒炎症部位に向かう免疫細胞の遊走と活性化状態を 厳密に制御する ※ 食物繊維を多く摂取することが奨められる Iddir, Nutrients 2020 12 1562◎ 京丹後市 長寿地域
(100歳以上133人/10万人)
野菜と海藻の摂取が多い
⇒ 食物繊維が多い
⇒ 腸内に酪酸産生菌が多い
⇒ 腸内で制御性T細胞の分化・増殖↑
⇒ 免疫系の暴走を抑える
内藤 J Cin Nutr Biocem 2019 65 125◎ 京丹後市 長寿地域
(続き)
野菜と海藻の摂取が多い 内藤 J Cin Nutr Biocem 2019 65 125 野菜(泥付き・地産地消)と海藻には
LPSが多く含まれる
⇒ 自然免疫を活性化する
⇒ 感染症に対し、強くなる
※ この面も長寿に貢献していると
推測される
◎ 高齢者の腸内細菌叢
は、多様性が低く、
有益な微生物が減少している
(=ディスビオーシス:不良な腸内フローラ)
⇒フレイル(老年性の虚弱)と
全身性炎症の両方に関連する
腸のディスビオーシスがCOVID-19の炎症↑に
影響を与えている可能性がある
Ciabattini, Semin Immunopathol 2020 Nov 6
◎ プロポリス
植物の浸出液からミツバチによって
生成される樹脂材料
プロポリスの成分は、ACE2、TMPRSS2
(SARS-CoV-2の宿主細胞への感染に関与する酵素群)
、PAK1の
シグナル伝達経路に抑制効果がある
抗ウイルス活性もある
治療オプションとなりうるかもしれない
Berretta, Biomed Pharmacother 2020 Aug 17
◎ 植物は、植物化学物質を生成し
病原体から身を守っている
ヒトにおけるコロナウイルスの阻害に
有望な植物化学物質には、
ケルセチン、ミリセチン、カフェー酸
(いずれもプロポリスの成分)がある
ミツバチは、
これらの抗菌特性を認識して集め、
コロニーを保護するために使用している
Berretta, Biomed Pharmacother 2020 Aug 17
◎プロポリス :
種々のウイルスに対する抗ウイルス活性
が示されている
by 動物モデル
インフルエンザウイルス
単純ヘルペスウイルス
HIV
by in vitroモデル(培養細胞)
ポリオウイルス
単純ヘルペスウイルス
アデノウイルス
コロナウイルス
Berretta, Biomed Pharmacother 2020 Aug 17 131◎ 高齢者は慢性炎症の影響を受ける
ことが多く
炎症性サイトカインのレベルが
全身的に上昇するとを特徴とする
⇒ サイトカインストーム
(COVID-19による死亡の主な原因)
の発症に寄与する可能性
プロポリスには抗酸化作用があり、炎症性サイトカインのレベルが
全身的に上昇するとを特徴とする
老化プロセスを遅らせたり減らしたりするのに役立つ
COVID-19における水素の早期使用は、
COVID-19に関連するサイトカインストームによって
引き起こされる組織破壊を軽減し、
肺傷害↓、粘稠な痰の排出↑
⇒ 重症患者の発生率を減らす
可能性があると推測される
Berretta, Biomed Pharmacother 2020 Aug 17 131
◎ コロナウイルス感染
⇒PAK1(セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ1)活性↑
⇒肺の炎症、肺線維症、その他の重大な死亡要因を媒介
プロポリス(成分 コーヒー酸及びそのエステル)
はPAK-1をブロックし、肺線維症を回避し、
正常な免疫反応を回復する可能性がある
Berretta, Biomed Pharmacother 2020 Aug 17 131
◎ COVID-19と水素
Yang, Front Pharmacol 15 Oct 2020
◎ 水素ガス(H2)
は、
生体内で還元性を示し、
選択的にヒドロキシラジカルを
消去することにより
酸化ストレスを軽減する Ohsawa Nat Med 2007
大腸内で産生された水素ガスは
五臓六腑に染み渡る(=全身に影響を及ぼす)
西村 第8章 腸内細菌-宿主のクロストークと食事要因 建帛社2019
◎ 適切に食物繊維やレジスタントスターチを含む食事
を摂ることで
大腸内で穏やかな水素ガス生成を
伴う発酵を誘導し、
持続的に水素ガスを
全身にデリバリーすることに
意味がある
西村 第8章
腸内細菌-宿主のクロストークと食事要因
建帛社2019◎ 外因性水素と内因性水素
① 外因性水素
=水素ガスの吸入や水素水の飲用による
② 内因性水素
=大腸に常在する腸内細菌によって生成される水素
水素は、分子サイズが小さい
ため、大腸の管腔内にとどまらず
大腸組織を透過する=水素ガスの吸入や水素水の飲用による
⇒ 大腸、肝臓、脂肪組織に作用
西村 第8章 腸内細菌-宿主のクロストークと食事要因 建帛社2019
◎ 肥満 ⇒ COVID-19の重症度↑・入院のリスク↑
何十もの研究が、最重症のCOVID-19患者の多くが 肥満の人々であると報告している 肥満⇒ ・免疫力↓ ・慢性炎症 ・血液が凝固しやすい ・肺活量↓ ・心臓病・肺疾患・糖尿病・メタボリック症候群のリスク↑◎ パンデミックの疫学データ:
COVID-19重症化と死亡のリスクが
女性に比べ男性の方が、はっきり高い
男性の入院は
女性を約50%上回っている
重症SARS-CoV-2感染に対する
男性の感受性は著しく高い
ICU入室数 女性1:男性 2~4
致死率 1~1.2-1.4
Ciabattini, Semin Immunopathol 2020 Nov 6
Wadman, Science Sep 8 2020女性に比べ男性の方が、はっきり高い
◎ エッセンシャルオイルとCOVID-19
エッセンシャルオイル(精油)は、 ・抗炎症 ・免疫調節 ・気管支拡張 ・抗ウイルス といった特性を持つことが 長い間知られており、 SARC-CoV-2に対する 活性を有することが 提案されている Asif Inflammopharm 2020 Aug 14◎ エッセンシャルオイル
・エッセンシャルオイルは、ウイルス膜に
膜破壊を引き起こすと提唱されている
・ウイルス複製の複数の段階に作用し、
気管支拡張や粘液溶解など呼吸器系に
プラスの効果を誘発する
複数の活性植物化学物質が
含まれている
Asif Inflammopharm 2020 Aug 14
◎ ユーカリ油: ヴイックスヴェポラッブの成分
・ジェンノセン ・ユーカリプトール などが含有 SARC-CoV-2に対する抗プロテイナーゼ効果 が予測される 単球・マクロファージからの 炎症性サイトカインの放出↓ その食特性は停止させない 粘液溶解 気管支拡張 ウイルス増殖抑制 Inflammopharm 2020◎ ニンニク精油 vs SARS-CoV-2
ニンニク精油中の17の有機硫黄化合物が、
・ACE2(ウイルスの受容体)のアミノ酸
・SARS-CoV-2の主要なプロテアーゼPDB6LU7
との強い相互作用を示した。
⇒ 人体への侵入を防ぐ可能性が考えられる
Thuy, ACS Omega 2020 5 8312
◎ SARS-CoV-2
アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合
⇒細胞に侵入し、感染
肺レベルにおける
ACE2の濃度または活性化の程度の違い:
子供に比較して
成人におけるCOVID-19の発生率が
高い理由の一つである
可能性がある
Fanos, J Ped Neonat Indiv Med 9 2020
◎ お茶
自然免疫を調節⇒ COVID-19パンデミックを 緩和すると期待される ポリフェノール ・緑茶 エピガロカテキンガレート ・紅茶 テアフラビン アルカロイド:カフェイン テオフィリン テオブロミン 微量栄養素: 銅 鉄 マンガン セレン 亜鉛 ビタミン Chowdhury, Front Immunol 2020👉緑茶 のエピガロカテキンガレート
重症COVID-19患者は、
I型インターフェロン(IFN)産生が損なわれ、
ウイルスクリアランスが低い
緑茶 のエピガロカテキンガレートは、
C型肝炎ウイルスに感染したヒト肝がん細胞で
IFNやインターフェロン刺激遺伝子発現を
誘導できることが示されている
Chowdhury, Front Immunol 28 Oct 2020
👉緑茶由来のエピガロカテキンガレート
(EGCG)の抗炎症効果
マウス由来の マクロファージと樹状細胞を用いた実験的研究: EGCGがMAPKとNF-κbシグナル伝達を介して TLR4とTLR2の発現に介入し、 炎症誘発性サイトカインの阻害をもたらす Chowdhury, Front Immunol 28 Oct 2020👉C型肝炎ウイルス
は
SARS-CoV-2に類似したRNAウイルスであり
トール様受容体(TLR)や
レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)
などの受容体を負に制御
⇒宿主細胞のインターフェロン産生↓
2つのウイルスは
このインターフェロン産生↓について
同じ作用機序を示す
Chowdhury, Front Immunol 2020
👉茶ポリフェノールによる好中球・単球の阻害メカニズム
エピガロカテキンガレートとテアフラビン 転写因子NF-κBとJNK経路を阻害 ⇒LPSによって誘導される 血管内皮細胞の接着分子ICAM-1とVCAM-1 の発現を抑制する ⇒ 好中球・単球の炎症局所への集積を↓ Chowdhury, Front Immunol 28 Oct 2020👉エピガロカテキンガレート(EGCG)と
好中球エラスターゼ
EGCGは、肺胞上皮の透過性の増加に関係する 好中球エラスターゼに 直接結合し、その酵素活性を阻害する ※ 好中球は、強度に活性化すると 好中球エラスターゼを含む 好中球細胞外トラップ(NETs)を放出する Xiaokaiti, Sci Rep 2015◎ ナリンゲニン
グレープフルーツ(43.5 mg / 100 mL) オレンジ(2.13 mg / 100 mL)などの 柑橘系の果物に含まれる 重要な天然フラボノイドで、 ・鎮痛作用 ・抗酸化作用 ・抗炎症作用 ・抗腫瘍作用 ・抗ウイルス作用 がある。 Alberca, Front Immunol Sep 25 2020👉ナリンゲニンは、ウイルス複製を阻害する
SARS-CoV2では、
インシリコ分析により、
ナリンゲニン(NAR)が
SARS-CoV-2 の
3-キモトリプシン様プロテアーゼ
(ウイルス感染時の転写と複製に関与)を阻害し、
⇒ ウイルス複製を阻害する可能性がある
Khaerunnisa, 2020
Alberca, Front Immunol Sep 25 2020
👉ナリンゲニンとARDS
肺のIL-6、TNF、好中球の増加を伴う症候群である
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の動物モデルでは、
ナリンゲニン補給により、
好中球の浸潤と酸化ストレスを軽減し、
気道の炎症と肺傷害を大幅に軽減した。
Zhao 2017
Alberca, Front Immunol Sep 25 2020
👉ナリンゲニンの抗ウイルス作用
・表面分子の調節 ・抗ウイルス物質(インターフェロンIなど)の産生、 ・炎症分子の生成、 ・ウイルスコンポーネントとの直接相互作用 などを介して、 ⇒ ウイルスの侵入、集合、複製を減少させるAlberca, Front Immunol Sep 25 2020
👉妊婦におけるSARS-CoV-2感染率の上昇
ワシントン州において 妊婦におけるSARS-CoV-2感染率(13.9/千人)は、 同年齢(20-39歳)の成人(7.3/千人)よりも70%高かった 妊婦がCOVID-19ワクチン接種について 広く優先されるべきであることが強く示唆される(米国)。 Lokken, Am J Obstet Gynecol 2021
👉運動
定期的に中程度から激しい運動をする
⇒ 生涯にわたって免疫力が向上し
上気道感染症の頻度を減らすことができる
定期的に運動をしている高齢者(65歳以上)
でも同様
定期的な運動 ⇒ 血流中の抗ウイルス作用を持つ細胞集団が変化する(可能性)
L-Linnemann World Allergy Org J 2020
⇒ 生涯にわたって免疫力が向上し
上気道感染症の頻度を減らすことができる 定期的に運動をしている高齢者(65歳以上)
でも同様 定期的な運動 ⇒ 血流中の抗ウイルス作用を持つ細胞集団が変化する(可能性) L-Linnemann World Allergy Org J 2020
👉 運動
40〜60分の激しい運動中 運動中に放出されるアドレナリン ⇒ リンパ球表面のβ2アドレナリン受容体を刺激 ⇒ NK細胞とCD8+ T細胞など、 急激な一過性のリンパ球増加が生じる (それぞれ10倍、2.5倍に↑) ⇒ エフェクターメモリー型の免疫表現型となる L-Linnemann World Allergy Org J 2020
👉運動
①
・骨髄へのホーミング↑
・疲弊・老化したT細胞の
アポトーシスを促進↑
・新しい前駆細胞(IFN産生CD8+T細胞)の
産生・放出↑
⇒ 免疫のホメオスタシスを維持する
② ワクチン接種の反応を高める
Kohut 2002
L-Linnemann, World Allergy Org J 13 100476 2020
👉運動による免疫学的健康
COVID-19流行期間中は
・健康的なライフスタイルを
維持するため
・免疫保護や免疫調節のため
活動的で定期的に
徐々に強度を上げて
運動することが大切である
SARS-CoV-2重症化のリスクが高い高齢者は
運動による免疫学的健康への効果が
最も大きい可能性
L-Linnemann, World Allergy Org J 2020
👉恒常的な運動 ⇒ 免疫細胞上の細胞表面TLR発現↓
Toll様受容体(TLR)4:
サイトカインストームの原因となる
サイトカイン産生シグナルの最上流に位置する
・運動不足 ⇒TLRの活性化↑
(=活性化しすぎにつながる)
・恒常的な運動 ⇒ 免疫細胞上の細胞表面TLR発現↓
⇒SARS-CoV 感染中のサイトカインストームのリスク↓
L-Linnemann, 2020
👉森林浴
森の中を歩くと
樹木が生成する揮発性物質
(フィトンチッド 抗菌性のエッセンシャルオイル)
によってNK細胞の活性が高まる
このNK細胞活性を高める効果は、森林浴ツアー
(2泊3日 1回あたり2時間の散歩x3回)の
30日後まで続いた Li 2006-2008
L-Linnemann, World Allergy Org J 2020
👉睡眠
現在までのところ、
睡眠の COVID-19に対する
予防的効果を示す研究は
発表されていない
しかし、
睡眠の質を高めた健康的なライフスタイルは、
免疫系の機能を高めたり、
整えたりする可能性があることが
提案されている
L-Linnemann, World Allergy Org J 13 100476 2020
👉 睡眠
効率的なT細胞応答のためには、
T細胞が標的(ウイルス感染細胞など)に
しっかりと接着することが必要
そのためにはT細胞受容体(TCR)を介した
β2インテグリンの活性化が必要である
睡眠時は
夜間の覚醒時に比べインテグリンの活性化↑
Dimitrov 2019
L-Linnemann, World Allergy Org J 2020
👉 睡眠不足
睡眠中
Gタンパク質共役型受容体αサブユニット
アゴニスト(エピネフリン、ノルエピネフリンなど)が少ない
⇒ 細胞傷害性T細胞のインテグリンの活性化↑
(=抗ウイルス作用↑)
2時間の睡眠不足で⇒ T細胞の接着能力は低下する
Dimitrov 2019
L-Linnemann World Allergy Org J 2020
👉 睡眠障害とIL-6
高齢者では
質の悪い睡眠パターン(=睡眠障害があること)が
認知テスト負荷によるIL-6(炎症性サイトカイン)
レベルの上昇と関連していた
抑うつ症状、ストレス、孤独感などの他の要因と
IL-6とは無関係であった
Heffner 2012
L-Linnemann World Allergy Org J 2020
👉マインドフルネス(瞑想)
急性呼吸器感染症を予防するための
マインドフルネス(瞑想)
Barrett 2012によると、
専門家の指導によるマインドフルネス(瞑想)を
継続的に行うことは
効果的なストレス軽減を実現し
主に高齢者の急性呼吸器感染症の負担を
軽減するのに有益である
L-Linnemann, World Allergy Org J 2020
👉 ビタミンC
ビタミンCの抗酸化作用が、
免疫系に影響を与える可能性
200mg以上のビタミンC補給
・一般集団における風邪の発症率は低下しなかった
・ 風邪の罹患期間:成人で8%、小児で14%短縮させた
コクランとの共同研究によるシステマティックレビュー
L-Linnemann, World Allergy Org J 2020
👉 亜鉛
人体の亜鉛貯蔵能力は低い
亜鉛が欠乏すると
・胸腺の萎縮
・リンパ球の減少
・リンパ球の反応↓
亜鉛の補給は
小児および高齢者の
・急性上気道感染症
・肺炎
・下痢
のリスクを低減する可能性
※ 銅欠乏症のリスクがあるため
過剰な亜鉛投与は避けること
L-Linnemann World Allergy Org J 2020
👉 発熱
摂氏39度~40度の温度上昇は、
様々な細胞からのIL-6、IL-12、IL-1β、IFN、
プロスタグランジンなどの産生を
増加させる
一方、マクロファージにおける
IL-10とTNFαの産生は減少
Tヘルパー細胞の反応をTh1に向かわせる
⇒ 抗ウイルス作用↑
L-Linnemann, World Allergy Org J 13 100476 2020
👉 市中肺炎の高齢入院患者
市中肺炎の高齢患者は
発熱と白血球増加症を特徴とする
全身性炎症反応を示さない場合がある
市中肺炎の高齢入院患者
・発熱と白血球増加症のある患者:A群
・発熱と白血球増加症のない患者:B群
の比較
死亡率
・A群 4%
・B群 29%
Ahkee 1997 L-Linnemann World Allergy Org 2020
👉 消極下熱群
ICU入室し、発熱(>38.5℃)した患者
・ A群 積極下熱群 アセトアミノフェン開始
>39.5℃にて冷却ブランケット追加
・ B群 消極下熱群
>40℃で下熱開始
40℃以下になるまで だけ下熱を図る
死亡
・A群 7名
・B群 1名 P=0.06
Schulman Surgical Infections 2006
👉 ネアンデルタール人由来のゲノム
ホモ・サピエンスは、
アフリカ人とネアンデルタール人との
交配によって生まれた
ホモ・サピエンスのゲノムにおける
ネアンデルタール人由来のゲノム:約2%
このネアンデルタール人に由来する
ハプロタイプの中に、
免疫反応における
重要な遺伝子が含まれている
Bach, Front Immunol 1.28 2021
👉 COVID-19の重症化因子
ネアンデルタール由来のコアハプロタイプ
の対立遺伝子(=COVID-19の重症化因子
第3染色体内)の頻度
・南アジア 30%
・欧州 8%
・アメリカ 4%
・東アジア 低頻度
英国のバングラデシュ出身の個人は
一般集団より
COVID-19で死亡するリスクが約2倍高い
Zeberg Nature 587 610 2020
👉 サウナ
サウナの利用 ⇒
COVID-19 症例数↓・死亡率↓の可能性
・症例数/10万人
欧州 233人
F国(フィンランド)128人
E国(エストニア)148人
・死亡数/10万人
欧州 18.3人
F国 5.9人
E国 5.2人
2020.6時点
※ F国とE国では、サウナが文化の一部
👉 低温
SARS-CoV-2の弱点
熱、塩基性pH(アルカリ)、酸性pHに弱い
このウイルスは、4℃でより安定する
=低温を好む
発熱(患者自身が発する熱)や
人為的に誘発された体温(サウナや風呂)が
感染に与える潜在的な影響
を考慮する必要がある
Ramirez Med Hypo 146 110363 2021
👉 ハイドロサーモセラピー
ハイドロサーモセラピーという用語は
ギリシャ語で水を意味する「Hudor」
熱を意味する「Thermo」
治癒を意味する「Therapeia」
の3つの言葉に由来する
ハイドロサーモセラピー
=人体に人工的な熱を作り出す
ユニークなメカニズム
熱⇒抗ウイルス効果がある
Ramirez Med Hypo 146 110363 2021
👉 ハイドロサーモセラピーの種類
世界各地にフィンランド式サウナの類似した
ハイドロサーモセラピーが存在する
・日本の銭湯や蒸し風呂
・トルコのハマム
・中米(メキシコ)のテメスカル
・アメリカ先住民のスウェットロッジ(イニピ)
・ロシアのバーニャ
など
Ramirez Med Hypo 146 110363 2021
👉 スペイン風邪とハイドロサーモセラピー
1918年スペイン風邪(インフルエンザ)の大流行
⇒ 5千万人~1億人死亡
・一般病院の死亡率 13~40%
・サニタリウム(健康センター)における
入院患者の死亡率 1.3%
※ サニタリウムでは、ハイドロサーモセラピー
が施行されていた
Ramirez Med Hypo 146 110363 2021
👉 感染症における発熱
感染症において発熱すると
① 宿主の生存率が高まる
② 病気の期間が短くなる
ヒトの細胞とライノウイルスを入れた容器を
45℃の温水浴に浸した
⇒ 熱によってウイルスの増殖が90%抑制
ヒトの細胞は死滅しなかった
※ サウナでは、短時間、体温約40℃まで上昇する
Ramirez Med Hypo 2021
👉 mRNAワクチンの副作用
SARS-CoV-2・mRNAワクチンの
副作用(発熱、頭痛、筋肉痛、
全身倦怠感などの組み合わせ)は、
侵入してきた微生物との接触に対する
正常な生理学的反応である
I型インターフェロンの
一過性の産生を反映しているのにすぎない
可能性がある(推測)。
Sprent, Science 6 eabj9256 2021
👉 I型インターフェロン
I型インターフェロン(IFN-I)
病原体との接触後
マクロファージ、樹状細胞(通常型と形質細胞様)から
直ちに産生され
強力な抗ウイルス効果を持ち、全身に作用する
SARS-CoV-2は
IFN-Iの産生に拮抗し
重症患者であっても血中のIFN-I(特にIFN-β)が
正常値以下になる
Sprent, Science 2021
👉 I型インターフェロン
現在まで
SARS-CoV-2・mRNAワクチン接種後の
IFN-I産生に関する直接的な証拠はない
しかし、他のmRNAワクチンは
IFN-Iを強力に誘導する Cagigi 2021
⇒ この可能性は高い(推測)
※ B型・C型肝炎や多発性硬化症の治療目的で
IFN-I注射
⇒ 発熱、頭痛、疲労が出現する
Sprent, Science 2021
👉 IFN-Iのアジュバンド活性
成功したワクチンの必須の特徴は
①病原体の抗原を有する
②アジュバンドを含んでいる⇒宿主樹状細胞上
の共刺激分子発現↑
・病原体の多くの成分(特にmRNAとDNA)は
アジュバント活性を持つ
・ワクチン投与によって産生されたIFN-Iも
強力なアジュバントとして作用する
Sprent Science 2021
👉 mRNAワクチンの副作用
COVID-19・mRNAワクチンの副作用は
証明されていないが
有効な免疫反応の誘導に伴って
IFN-Iが短時間で生成されたことによる
副産物である可能性が高い
男性よりも女性
高齢者よりも若年者の方が
強い影響を受ける
(=IFN-Iの産生量と相関している:推測)
Sprent, Science 6 eabj9256 2021
すずひろクリニック公式サイト(さいたま市)