新型コロナに有効性が提唱されている薬剤


目次 リンク集 医療関係(さいたま)

 

新型コロナに有効性が提唱されている薬剤

新型コロナウイルス感染症対策として、世界中で、さまざまな薬剤の有効性を示唆する論文として発表されています。記載されている論文(一部)のエッセンスをまとめてみました。

2021.7月下旬現在、COVID-19が重症化した際には、レムデシビルの使用が承認されています。アビガンは、承認申請中ですし、デキサメサゾンも使用されています。

オルミエント®(バリシチニブ)も「SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)」の効能・効果を追加することが承認されました。2021.4.23

抗体カクテルも承認されました。ロナプリーブ点滴静注セット  2021.7.19

しかし、特に初期における治療薬は、まだ不十分であるのが現状です。

新型コロナウイルス感染症対策として承認されてはいないものの、有効性が提唱されている薬剤について、紹介します。

※ 免責事項 あくまでも論文のご紹介です。見解は、それぞれの著者の見解です。

紹介者としましては、「何か少しでもご参考になる点があれば」というスタンスです。何か取り入れようと思われる場合には、当該の論文をしっかりお読みになった上で、自己責任にてお願いいたします。

◎ 検討されている戦術的治療

(一部承認されたものもある) 

※ 主として重症者用

アクテムラ/トシリズマブ。アビガン/ファビピラビル; アジスロマイシン; バリシチニブ/オルミアント;

ベバシズマブ/アバスチン; Calquence / Acalabrutinib; クロロキン; コルクリス/コルヒチン; 回復期血漿; EIDD-2801; フィンゴリモド/ギレニア; ガリデシビル; ヒドロキシクロロキン; イラリス/カナキヌマブ; イベルメクチン; ジャカフィ/ルキソリチニブ; カレトラ/ロピナビル/リトナビル; ケブザラ/ Sarilumab;

キネレット/アナキンラ; レロンリマブ; マブリリムマブ; メチルプレドニゾロン; オテズラ/アプレミラスト; レムデシビル; タミフル/オセルタミビル; ウミフェノビル/アルビドール; ゼルヤンツ / Tofacitinib

 Kostoff, Toxicol Rep 2020; 7: 1448–1458

◎ COVID-19と好中球細胞外トラップ(好中球ネッツ)

COVID-19では、好中球増加症が 予後不良を予測する因子となる 好中球増加症・活性化⇒好中球ネッツ形成・放出 ⇒微小血栓症と急性呼吸窮迫症候群(ARDS) ※ ネッツは、病原体に対する感染防御には有益 Barnes, JEM 2020 1: 217

 ◎ COVID-19: 肺の剖検標本(1例)における好中球浸潤

・肺毛細血管 に 広範囲の好中球浸潤 ・フィブリン沈着 を伴う 急性毛細管炎 ・肺胞腔への好中球遊走 敗血症なし。細菌培養は陰性 ※ COVID-19肺病変における好中球の中心的役割を示す 
 
 

 ◎ COVID-19と好中球ネッツ形成・放出

この過程を薬剤の「標的」にすることにより COVID-19の重症度を抑えられる可能性がある ネッツ形成に関与する酵素 ・好中球エラスターゼ ・PAD4 ・ガスダーミンD ※ こららの「酵素阻害薬」が候補となりうる

  Barnes, JEM 2020 1: 217 

 

◎ 好中球ネッツ形成に関与する酵素

・好中球エラスターゼ 細胞内タンパク質を分解 ⇒ 核崩壊を引き起こす ・PAD4 ヒストンをシトルリン化 ⇒ 染色体DNAの脱凝縮と放出を促進する ・ガスダーミンD 細胞膜に穴をあけ、細胞の破裂を促進 ⇒ DNA・関連分子の放出を促進する Barnes, JEM 2020 1: 217 

 COVID-19の血栓症に 好中球ネッツが関与

急性の心臓および腎臓の傷害は、 COVID-19の重症患者によく見られ、 COVID-19死因の一つとなる。 血管内の好中球ネッツは、 動脈と静脈の血栓症の開始と増悪に 重要な役割を果たす。 Barnes, JEM 2020 1: 217 

 ◎ COVID-19: 好中球ネッツによる「自爆攻撃」

自爆してはいけないところで自爆する ⇒ 体を傷害する ・肺胞内で自爆⇒ 肺胞内ゲル化 ⇒ 肺ゲル腫(ARDS)血管内で自爆 ⇒ 動脈・静脈で血栓   ⇒ 心臓・腎臓等の傷害 参考 Barnes, JEM 2020 1: 217

 

◎ COVID-19と好中球ネッツ(NET)

※ NET⇒マクロファージに IL1β(インターロイキン1β)を分泌させる 重症のCOVID-19で 「NET–IL1βループ」 が活性化される ⇒NETとIL1βの産生が加速され、 呼吸代償不全、微小血栓の形成、異常な免疫反応が 加速される可能性 Barnes, JEM 2020 1: 217 

 

◎  COVID-19とコルヒチン

コルヒチンは、 好中球の ・炎症部位への動員 ・IL1βの分泌 これらを二つとも阻害できる既存の薬物。 COVID-19において コルヒチンを使用する試験が進行中である ※ コルヒチンは、痛風発作に使用されている薬剤 Barnes, JEM 2020 1: 217

👉コルヒチン
COVID-19 入院していない患者4488例  ランダム化二重盲検試験 有効性エンドポイント: 死亡 or 入院となった患者の頻度 PCRで証明されたCOVID-19患者において ・コルヒチン2075例 4.6%  ・プラセボ2084例 6.0% (P=0.04) 有意差があった   Tardif, medRxiv Jan 27 2021



 





👉コルヒチンが投与された9例の体温の経過 

2020.2  イタリア ロンバルディア地域における COVID-19在宅・発熱患者9例に コルヒチンが投与された 全例72時間以内に下熱した (入院となったのは1名のみ) D-Torre Clin Immunol Aug 217 2020




👉コルヒチン=NLRP3インフラマソームの非選択的阻害剤

当初 この薬は、 単に微小管重合と白血球浸潤の阻害剤 として考えられていた 現在では コルヒチンの抗炎症作用のかなりの部分が NLRP3インフラマソームの阻害に起因すると 推定されている Toldo 2018 Deftereos Hellenic J Caridiol 61 42 2020

◎ メラトニンとCOVID-19
メラトニン:脳の松果体で生合成されるホルモン 睡眠の質を改善する ※ 睡眠不足はウイルス感染に対する免疫反応を弱める メラトニンの新型コロナウイルス感染症に 対する効果の可能性が 示唆されている。 Juybari Virus Res 2020 Oct 2; 287

 ◎ メラトニン: 抗酸化剤・抗炎症剤の作用がある

メラトニンが、ウイルスおよび細菌感染によって誘発される

急性肺傷害(ALI)急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対抗する 他の薬剤と組み合わせで、 メラトニンは COVID-19の治療上、 役割を果たす可能性がある Juybari, Virus Res. 2020 Oct 2; 287 
 

◎ SARS-CoV-2は、コウモリ由来のウイルス ※ コウモリでは病原性なし コウモリは、メラトニン産生レベルが高い ⇒ 発症を抑えている可能性がある ヒトのメラトニン生産レベルは コウモリよりも著しく低い ⇒ COVID-19発症に関与している可能性 Juybari, Virus Res. 2020 Oct 2; 287 

◎ 老化⇒ メラトニン分泌↓

老化すると、夜間のメラトニンのピークは通常 かなり減少する(個人差 大)

ある高齢者では、夜間の値は、日中の値と ほぼ同じ(低い) 夜間の値が穏やかな減少のみの高齢者もいる Aging Dis 2012 3 194 メラトニン分泌分泌↓ ⇒ COVID-19のリスク↑ 

◎ SARS-CoV-2ワクチンの有効性
健康な若年者と比べ 高齢者やその他の高リスク集団では おそらく劣ると推測される 予防接種に加え メラトニンなどの免疫調節剤を 使用すると 免疫系が損なわれている患者と健康な患者の両方で ワクチンの有効性が高まる可能性がある Juybari Virus Res 2020 Oct 2 287 

 ◎ メラトニン

ナチュラルキラーとCD4 +細胞の数を増やし、 効果的なワクチン応答に必要な サイトカインの産生を増幅する (Carrillo-Vico, 2006) 睡眠不足は ウイルス感染に対する免疫反応を弱める メラトニンは 睡眠の質を改善する重要な因子である Juybari, Virus Res. 2020 Oct 2; 287 


◎ 抗SARS-CoV2剤として可能性のある天然の物質

・カロラクトン(粘液細菌Sorangium cellulosumが産生) ・ホモハリングトニン (オマセタキシン 植物のイヌガヤ由来) ・エメチン(植物のトコン由来) ・セファランチン(植物のタマサキツヅラフジ由来) Wang, Front Pharmacol 2020 11 1013

◎ セファランチン

植物の玉咲ツヅラフジ(台湾に自生)由来
1934年 近藤らにより単離された 適応 円形脱毛症など 抗ウイルス効果、抗マラリア効果、 抗癌効果を有する(Fang 2013) in vitroでSARS-CoV-2複製を効果的に阻害した (大橋 渡士 2020) Wang, Front Pharmacol 2020 11 1013

  

◎ カロラクトン

粘液細菌(南方熊楠の粘菌とは別物)由来 メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ1を 阻害する作用を有する この酵素は、RNA複製のための重要な宿主因子である Vero細胞におけるSARS-CoV-2複製を強く阻害した (Anderson 2020) Wang, Front Pharmacol 2020 11 1013 

 

◎ カロラクトン

(続き)
SARS-CoV-2⇒ ヒトの気道粘膜上皮細胞へ侵入(感染) ⇒ 細胞内の酵素を拝借して、 ウイルスの複製のために使用する ※ 特に重要な酵素がMTHFD1:この酵素の所有者はヒト カロラクトン⇒MTHFD1活性を抑える ⇒SARS-CoV-2の増殖を抑える Wang, Front Pharmacol 2020 

 

◎ カロラクトン 

ミュータンス菌(虫歯菌)の バイオフィルムを破壊する 真核生物(人など)に対して非毒性 Krunze 2010 カロラクトンを組み込んだ歯科用複合材料は、 ミュータンス菌バイオフィルムに対する 強力なin vitro活性を維持する Apel 2013 Donner, Sci Rep 2016 6 29677 

 ◎ カロラクトン 

現在使用されている抗生物質に 耐性のある病原体の出現は 世界的な脅威 ⇒ 新規の標的と作用機序を持つ抗菌薬の探索は重要 Donner mSphere 2017 カロラクトンはその候補の一つ 肺炎球菌(TIGR4、血清型19A臨床分離株)の 増殖を抑制した Donner Sci Rep 2016 6 29677 

 

◎ 抗SARS-CoV2剤として可能性のある 天然の物質からヒントを得た小分子 ・ イベルメクチン   (大村智博士・キャンベル博士が開発    2015年 ノーベル賞) ・ GS-5734 ・ EIDD-2801 Wang, Front Pharmacol 2020 11 1013 

 

◎ イベルメクチン

Wagstaffらは、 本薬が in vitroにおけるSARS-CoV-2 RNA複製の制御に 効果的であり、 48時間以内にウイルスが 5,000倍減少することを示した 2020 承認されたイベルメクチンの投与量だけでは、 COVID-19の治療に理想的な投与量ではない Schmith 2020 Wang, Front Pharmacol 2020 

 

◎ GS-5734(レムデシビル)

ツベルシジン+トヨカマイシン(西村 1956) が出発点の化合物 SARS-CoV-2 RNA依存性RNAポリメラーゼの RNA結合チャネルに 結合する Wu 2020 2020.5 米国FDAは、 SARS-CoV-2感染症を治療するため の緊急使用を許可した(日本も2020.5) Wang Front Pharmacol 2020 

 

◎ EIDD-2801

EIDD-2801(Nヌクレオシドアナログ)は、 経口で生物学的に利用可能な有望な 抗ウイルス剤であり、 エモリー大学のプレンパーらに よって発見された 人間の血漿で発見されたウリジン ⇒N 4-ヒドロキシシチジン (広域スペクトルの抗ウイルス剤) が出発点 Wang, Front Pharmacol 2020 

◎ エブセレン(有機セレン低分子化合物)

SARS-CoV-2メインプロテアーゼ を阻害する⇒ COVID-19候補薬の一つ SARS-CoV-2感染症の抑制に 非常に効果的であり(EC 50 = 4.67μM)、 毒性が低い(ラット)。 人間に対する安全性が複数の臨床試験で 継続的に評価されている Wang Front Pharmacol 2020 

 

◎ アルファ‐1‐アンチトリプシン(A1AT) 抗ウイルスおよび抗炎症特性を持っている ヒトの血液中に存在している A1ATは、 SARS-CoV-2感染とCOVID-19病態において 最も重要な2つのプロテアーゼである 膜貫通型セリンプロテアーゼ2(TMPRSS2)と ADAM17を阻害する。 de Loyola, Rev Med Virol 2020 Aug 26 

 

◎ アルファ‐1‐アンチトリプシン(A1AT)の
血中濃度が高い
⇒ SARS-CoV-2感染↓・COVID-19重症度↓

BCG接種⇒訓練された免疫の誘導⇒A1ATの血中濃度↑ Cirovic Cell Host Microbe 2020 28 322 ※ A1AT: 種々の炎症時に血中に増加する 急性相反応物質の一つである 

 

◎ ファモチジン(胃薬)

は、

SARS-CoV-2ゲノム でコードされる酵素3-キモトリプシン様プロテアーゼを 阻害する可能性があると予測された ・入院から24時間以内にファモチジン開始(84名) ・非使用(1620名) ファモチジン投与群 生存した比率が高い(P<0.01) Freedberg, Gastroenterol 159 1129 2020  
 
 

 

◎ ガスター(ファモチジン)とCOVID-19

ファモチジン投与群  ・気管挿管なしで生存した比率が高い(P<0.01) ・生存した比率が高い(P<0.01) ・フェリチンが低値だった (中央値708 非使用者846 P=0.03) プロトンポンプ阻害薬(PPI)には、 このような効果はない Freedberg, Gastroenterol 2020 

 

◎ 高齢者(65歳以上)のインフルエンザワクチン接種率は、 COVID-19による死亡率と負の相関を示す

インフルエンザワクチン接種率の10%↑⇒COVID-19死亡率の28%↓ =高齢者集団において COVID-19による死亡率に対する インフルエンザワクチンの潜在的な 保護効果を示唆(米国) Zanettini, medRxiv Jun 26 2020 
 
 

 

◎ 経口組換えメチオニナーゼとCOVID-19

経口組換えメチオニナーゼ (=メチオニンを分解する酵素)投与 ⇒ 体内のメチオニン枯渇 ⇒ SARS-CoV-2のRNAキャップ構造のメチル化を阻害 ⇒ SARS-CoV-2の複製を阻害する可能性 Hoffman, in vivo 34 1596 2020 

 

◎ 紅藻由来のカラギーナン鼻スプレー ⇒ 幅広い抗ウイルス効果

ウイルスが確認された風邪に対し

・疾患の期間が短縮 ・ウイルスのクリアランスが増加 ・症状の再発が減少 鼻腔用スプレーBisolviral® (ベーリンガーインゲルハイム) 海外で発売されている Pereira J Appl Phycol 2020 Jun 1 

 

◎ 6 µg / mLという低濃度のイオタカラギーナン
(ビソルバイラル鼻スプレーの主成分: 紅藻由来)
が、ベロ細胞培養において
SARS-CoV-2感染を阻害する

ことが示されている Bansal, bioRxiv 2020 8.19 ※ ビソルバイラル (ベーリンガーインゲルハイム社) の イオタカラギーナンの濃度は、 1.2 mg/ml 

 

◎ ロシアのスプートニクVワクチン:91.4%の有効性 (18,000人以上の2回目の中間分析) アデノウイルス(Ad)をベクターとして使用   SARS-CoV-2の表面タンパク質であるスパイクを コードする遺伝子を送達する 利点:標準的な冷蔵庫に保管できる Kupferschmidt, Science Nov 24, 2020 

 

◎ 2型糖尿病

SARS-CoV-2感染に対する感受性は 高めない しかし、2型糖尿病はCOVID-19の より悪い結果と関連する 2型糖尿病がCOVID-19を発症すると、 血糖値の制御が不十分な場合、 代謝制御が良好な被験者と比較して、 死亡率が著しく高くなる Solerte Diabetes Care 43 2999 2020 

 

◎ 2型糖尿病でCOVID-19を発症した患者

①群 169名 標準治療+シタグリプチン (2型糖尿病薬、DPP-4阻害薬) ②群 169名 標準治療のみ ①群 の死亡率が有意に低下した(ハザード比 0.44) ※ DPP-4がSARS-CoV-2の標的細胞への侵入を促進する可能性 Solerte, Diabetes Care 43 2999 2020 


◎ 重感染(重複感染) 重感染の有病率は、
COVID-19患者間で異なり
非生存者では0%~50%の範囲だった

報告された共病原体:
細菌、マイコプラズマニューモニアエ、カンジダ
ウイルス(インフルエンザ、ライノウイルス、コロナウイルス、HIV)など

Jean, J Microbiol Immunol Infect 2020 53 436


◎ COVID-19における重感染
ウイルス性の場合
最も多い同時感染性ウイルスは?
答 A型インフルエンザウイルス 
Jean, J Microbiol Immunol Infect 2020 53 436

◎ COVID肺炎にて長期入院(> 6日)

の際は
以下をカバーする抗生物質:   ・黄色ブドウ球菌(MRSAを含む) ・多剤耐性肺炎球菌 ・クレブシエラ・ニューモニエ ・緑膿菌 ・アシネトバクター・バウマニ の 慎重な投与が推奨される (潜在的な重感染対策) Jean, J Microbiol Immunol Infect 2020

◎ スタチン

👉スタチンは、
・心血管リスクの軽減 ・COVID-19における自然免疫反応を↓ と報告されている COVID-19の重症患者のための マサチューセッツ総合病院ガイドは、 特にICUの入院患者において、 スタチンの使用を検討することを提唱している Rizk, Drugs 80 1267 2020

👉スタチンには保護効果

COVID-19患者において
心筋傷害があると 記載された2,746人の 多施設後ろ向きコホート研究: スタチンには保護効果があり、 生存率の改善に関連している (ハザード比 0.57、95%CI 0.47–0.69) Lala, J Am Coll Cardiol 2020 76 533

👉スタチンはMyD88経路を阻害

SARS-CoVに感染⇒MyD88遺伝子の誘導↑
⇒NF-kB経路が活性化⇒ 炎症↑ スタチンはMyD88経路を阻害⇒炎症↓ (※ 低酸素時およびストレス下では MyD88レベルを維持する傾向もある ⇒ COVID-19患者に保護効果をもたらす可能性) Rizk, Drugs, 80 1267 2020

◎ ラマトロバン(バイナス)

PGD​​2⇒DP2受容体⇒
ウイルスに対する宿主の免疫応答を抑制する SARS-CoVに感染したマウス: PGD2は気道で2〜5倍に増加
年齢とともにPGD2は、増加する PGD​​2 / DP2シグナル伝達の阻害(by ラマトロバン): COVID-19における 免疫機能障害およびリンパ球減少症に対する 免疫療法アプローチとしての可能性 Rizk Drugs 80 1267 2020

◎ 抗アンドロゲン作用薬

👉膜貫通セリンプロテアーゼ2(TMPRSS2)
アンドロゲン(男性ホルモン)に暴露される過剰発現する 禿頭症COVID-19でARDSを発症する男性に 特に存在することが 臨床的に観察されている =アンドロゲンがSARS-CoV-2の感染力と 病因に直接関連しているという仮説
Cadegiani, Med Hypo 2020 Oct 143

👉AGAの男性

ジヒドロテストステロン(DHT)

細胞内レベルが高い ⇒ COVID-19が重症化しやすい AGAの薬剤(フィナステリド、デュタステリド):  DHTレベルを低下させる =抗アンドロゲン作用がある ⇒ COVID-19の重症化を抑える可能性   Cadegiani, BMC Endocr Disord 2020 20 149


👉抗アンドロゲンアプローチ

は、 COVID-19男性患者を 保護しているよう見える アンドロゲン抑制療法(ADT)を受けた 前立腺癌患者は、 部分的にSARS-CoV2感染症から 保護されるように思われる Cadegiani, BMC Endocr Disord 2020 20 149


👉スピロノラクトン

・効果的な降圧作用 ・心臓保護 ・腎保護 ・抗アンドロゲン特性 を有している 長く使用され、安全なミネラルコルチコイド 及びアンドロゲン受容体拮抗薬である ⇒ SARS-CoV-2からの保護を提供する可能性 Cadegiani, Med Hypo 2020 Oct 143

👉アンドロゲンホルモン

3つの主要な要因が
SARS-CoV-2の予後不良と相関している ・高血圧 ・肥満 ・アンドロゲンホルモン 思春期前の子供: アンドロゲンレベルが低い⇒  COVID-19重症化から「保護」されている  Cadegiani, Med Hypo 2020 143 110112

👉可溶性ACE2
循環血中でSARS-CoV2と結合し
肺内皮(膜結合型ACE2を発現)への侵入を妨げる可能性
(=デコイレセプターとして働く)
循環血中でSARS-CoV2と結合し

肺内皮(膜結合型ACE2を発現)への侵入を妨げる可能性 (=デコイレセプターとして働く) 以下は治療薬となる可能性がある ・リコンビナント可溶性ACE2 ・可溶性ACE2レべルを上昇させる薬剤👉  例 スピロノラクトン Cadegiani, Med Hypo 2020 143 110112


👉抗アンドロゲン療法

77人入院男性の前向きコホート研究 ・12名 抗アンドロゲン療法あり群 (フィナステリド デュタステリド スピロノラクトン) ・65名なし群 抗アンドロゲン療法あり群が、ICU入院が有意に低かった (8% 対 58% P = 0.0015) Goren, JEADV Sep 25 2020





👉デュタステリドとスピロノラクトン


の両方が、 ヒト胚性幹細胞由来の心臓細胞モデルにおいて ・ACE2 (=SARS-CoV-2が結合するレセプター)と ・TMPRSS2(=SARS-CoV-2の侵入に関与する タンパク分解酵素) の両方の発現レベルを低下させた。 Samuel, Cell Stem Cell 27 876 2020
 


👉アンドロゲンシグナル伝達
は ACE2レベルの重要な モジュレーター(調節機構)である テストステロイン⇒ジヒドロテストステロン(DHT)⇒ アンドロゲン受容体活性化⇒ACE2発現↑ Samuel, Cell Stem Cell 27 876 2020


👉5α還元酵素阻害薬
アンドロゲンシグナル伝達を弱める 5α還元酵素阻害薬が 標的細胞のACE2レベルを↓ ⇒SARS-CoV-2感染力↓ の可能性 これらの薬剤は、 前立腺肥大やAGAに処方されている。 安全性プロファイルが良好で、 COVID-19の治療に転用できる可能性がある。 Samuel, Cell Stem Cell 27 876 2020

👉前立腺疾患
前立腺疾患(前立腺肥大症または前立腺がん)は、
他の危険因子とは無関係に トロポニンT(COVID-19誘発性心臓損傷にて↑)が 高値となる確率を 50.5%(OR = 1.505 p値0.046)増加させた アンドロゲンレベル↑⇒ ・前立腺疾患↑ ・COVID-19誘発性心臓損傷↑ Samuel, Cell Stem Cell 27 876 2020

👉前立腺肥大症
英国バイオバンク(UKBB)の90,150人の 男性患者記録の独立したコホートを分析した 前立腺肥大症(BPH) ・COVID-19陽性男性の17.9%がBPHあり ・COVID-19入院男性の21.2%がBPHあり ・対照群では、12%のみBPHあり  であった。  Samuel, Cell Stem Cell 27 876 2020









👉冠動脈疾患

英国バイオバンク(UKBB)の90,150人の
男性患者記録を分析: 冠動脈疾患(CAD) ・COVID-19陽性男性の24.5%がCADあり ・COVID-19陽性入院男性の28.8%がCADあり ・対照群男性では、16.7%がCADあり  P<0.001  ⇒CADは、男性のCOVID-19陽性・入院の 危険因子 Samuel Cell Stem Cell 27 876 2020


👉多嚢胞性卵巣症候群
(PCO)の女性
⇒ アンドロゲンレベルが高い COVID-19パンデミックの中で 重症化リスクが高くなっている可能性がある ※ 生殖年齢の女性の中で、高リスクが見落とされている可能性 (= 若い女性は、リスクが低いと一般に思われている) Kyrou, BMC Medicine 18 220 2020


👉多嚢胞性卵巣症候群の女性
・肥満 ・インスリン抵抗性 ・2型糖尿病(T2DM) ・高血圧 ・脂質異常症 ・閉塞性睡眠時無呼吸(OSA) ・非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD) などと密接に関連⇒ SARS-CoV-2感染に直面した場合 予想よりも高いリスクにある可能性 Kyrou, BMC Medicine 18 220 2020

👉多嚢胞性卵巣症候群

(PCOS):
重症であるほどビタミンDレベル↓ (負の相関あり) 低ビタミンD血症: COVID-19のリスク↑ PCOSを有する女性に対する ビタミンD補充⇒ 総テストステロン値およびCRPを 減少させる可能性がある Kyrou, BMC Medicine 18 220 2020

👉男性型PCOS同等症候群
が提唱されている ・性腺ステロイド産生↓ ・性ホルモン結合グロブリン(SHBG)↓ ・デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩(DHEAS)↑ のうち1つ以上 + 早期発症の男性型脱毛症 2型糖尿病、肥満、高血圧併発しやすい ⇒COVID-19リスク↑ Kyrou, BMC Medicine 18 220 2020

◎ メトホルミン

👉利用可能な後ろ向き研究は、 まだ数が限られているものの、 COVID-19で入院した2型糖尿病患者において メトホルミン使用者は、 非使用者と比較して 死亡率の低下が示されている。 Scheen Diabetes Metab 46 423 2020



👉メトホルミンの抗炎症効果

メトホルミンは
糖尿病の状態に関係なく 幾つかの抗炎症効果を発揮する ・TNFα↓(特に女性 Bramante, medRxiv 2020) ⇒ COVID-19に対する防御↑の可能性 ・IL-6↓ (Chen, Diabetes Care 2020) Scheen, Diabetes Metab 46 423 2020

👉メトホルミン
⇒ AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化 ⇒ ACE2のリン酸化 ⇒ ACE2受容体のコンフォメーション変化 (=サイズの大きいリン酸基が加わるため) ⇒ 立体障害 ⇒ SARS-CoV-2との結合が減少する可能性 Sharma, Diabetes Res Clin Pract 164 10183 2020


👉メトホルミン 

・メトホルミンは、ガレガ・オフィシナリスという植物から発見された ・もともとインフルエンザやマラリアに対して使用されていた ・血糖低下は、その副作用の1つにすぎなかった ・多面的効果と広範な有用性により、21世紀のアスピリンと呼ぶ科学者もいる Sharma 2020


ガレガ・オフィシナリス おぎはら植物園のサイトより引用

◎ オメガ3系長鎖多価不飽和脂肪酸(EPAなど)

=抗炎症作用がある ・西欧諸国におけるオメガ3脂肪酸の食事摂取レベルは  推奨値を大幅に下回っている ・オメガ-3補給が急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の  重篤な患者の臨床転帰を改善する可能性が  示唆されている Weill Biochimie 179 275 2020

👉オメガ3系長鎖多価不飽和脂肪酸(EPAなど)
ウイルス感染の異なる段階において、 特にウイルスの細胞への侵入と複製において、 相互作用(=干渉)する可能性がある Weill, Biochimie 179 275 2020

👉 脂質ラフトとSARS-CoV-2

 細胞膜には、
① 脂質2重層と  ② 脂質ラフト(筏に似た構造体)がある。 オメガ3系長鎖多価不飽和脂肪酸は、 ACE2とTMPRSS2が主に発現している 脂質ラフトを調節する可能性がある。 =細胞膜の流動性、タンパク複合体の集合 ACE2およびTMPRSS2の発現・安定性・酵素活性を調節する Weill 2020

👉 オメガ3脂肪酸

ウイルスは、複製膜の合成に
必要な脂質分子を 宿主細胞に十分提供させるように 宿主細胞の脂質代謝を再プログラムする =ウイルスにより宿主細胞の
転写因子SREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)が 活性化する オメガ3脂肪酸は、この過程を阻害する Weill, Biochimie 179 275 2020

👉 プロレゾルビンメディエーター
レゾルビン、マレシン、プロテクチンとして知られる、
EPAとDHA(これらは、オメガ3系多価不飽和脂肪酸) 由来の プロレゾルビンメディエーター(SPM =抗炎症性脂質メディエーター)は、 NF-κB経路↓ ⇒炎症性サイトカインの合成↓ ※ 炎症を鎮める方向に働く Weill, Biochimie 179 275 2020

👉EPAとDHA

(オメガ3系多価不飽和脂肪酸)
EPA由来のEシリーズレゾルビン、 DHA由来のDシリーズレゾルビン、プロテクチンは、 損傷組織における 白血球の浸潤を 抑制する⇒ 有意な抗炎症効果を発揮する。 Weill, Biochimie 179 275 2020

◎ DOAC
直接経口抗凝固薬(DOAC)とCOVID-19
DOACの使用(n = 103,703)は、 ・COVID-19の入院リスク ・ICU入室または死亡 を低下させなかった。 =早期の外来DOAC開始によって COVID-19予後は、変化しない スウェーデンの研究 Flam J Intern Med Dec 2020

◎ コルヒチン

COVID-19 入院していない患者4488例  ランダム化二重盲検試験 有効性エンドポイント: 死亡 or 入院となった患者の頻度 PCRで証明されたCOVID-19患者において ・コルヒチン2075例 4.6%  ・プラセボ2084例 6.0% (P=0.04) 有意差があった   Tardif, medRxiv Jan 27 2021










👉コルヒチンが投与された9例の体温の経過 

2020.2  イタリア ロンバルディア地域における COVID-19在宅・発熱患者9例に コルヒチンが投与された 全例72時間以内に下熱した (入院となったのは1名のみ) D-Torre Clin Immunol Aug 217 2020


👉 コルヒチン=NLRP3インフラマソームの非選択的阻害剤

当初 この薬は、 単に微小管重合と白血球浸潤の阻害剤 として考えられていた 現在では コルヒチンの抗炎症作用のかなりの部分が NLRP3インフラマソームの阻害に起因すると 推定されている Toldo 2018 Deftereos Hellenic J Caridiol 61 42 2020

👉コルヒチン臨床試験

SARS-CoV-2感染症の治療のために 10のコルヒチン臨床試験が進行中である 抗炎症 ・好中球の走化性、接着、動員の阻害 ・スーパーオキシド産生の阻害 ・インフラマソーム阻害 ・腫瘍壊死因子の減少 抗ウイルス特性

Schlesinger Curr Pharmacol Rep 18 1 2020


◎ ヒメクロモン

最近の研究では、
COVID-19では 肺が透明なゼリー状の液体で一杯となっている  (⇒酸素を取り込めなくなる) ことが確認されている。 透明なゼリーの性質は まだ完全には解明されていないが、 ヒアルロン酸は この液体に含まれる成分の1つである Seif, Int Arch Allergy Immunol 181 467 2020


👉 ヒメクロモン

 IL-1、TNFα ⇒ 肺の内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞に
ヒアルロン酸シンターゼ-2(HAS2)を強力に誘導  ⇒ 肺胞内にヒアルロン酸↑ ・呼吸困難↑ ⇒ ヒアルロニダーゼを気管内に適用する ・ヒメクロモン ⇒ HAS2を阻害する という方法の可能性 Seif Int Arch Allergy Immunol 2020


◎ アンギオテンシンII受容体遮断薬


SARS-CoV-2とACE2の結合
⇒ 細胞表面のACE2が脱落により減少 ⇒ 肺胞の局所的なアンギオテンシン II↑  (AngII=8アミノ酸→Ang1-7ペプチドへの変換↓のため) および ヒアルロン酸(HA)レベル↑ ⇒急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症 Seif Int Arch Allergy Immunol 181 467 2020





👉アンギオテンシンII受容体遮断薬


アンギオテンシンII ⇒ Ang IIタイプ1受容体(AT1-R)  への結合 これを阻害する降圧薬 =アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB) ・ロサルタン ・バルサルタン ・テルミサルタン ・カンデサルタン は、 COVID-19の治療に推奨される Seif, Int Arch Allergy Immunol 181 467 2020
 

👉 アンギオテンシンIIが、肺胞で局所的に過剰

 COVID-19の肺症状は、
本来であれば、ACE2によって 速やかに分解されるべき アンギオテンシンIIが、 肺胞で局所的に過剰になる ために 引き起こされている側面がある。 ※ SARS-CoV-2によって、細胞表面のACE2の脱落↑のため Seif, Int Arch Allergy Immunol 181 467 2020 

 

👉 ACE阻害薬

など

・ACE阻害薬(ACEI) ・アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB) ・組換えACE2 ・Ang 1-7ペプチド ・アルドステロン合成酵素阻害薬(ASI) ウイルス誘発性の肺障害・心臓障害を 予防または軽減する可能性がある。 (さらに多くの研究が必要) Seif, Int Arch Allergy Immunol 181 467 2020 
 
 

👉レニン-アンギオテンシン系と炎症性サイトカイン

には相互関係 がある

アンギオテンシンII は、免疫細胞の浸潤を増強する⇒

標的組織におけるTNF-α、IL-1、IL-6、インターフェロン-yなどの

炎症誘発性サイトカインの 局所産生を増加させる Seif, Int Arch Allergy Immunol 181 467 2020 

 

 👉JAK2とCOVID-19

 ・SARS-CoV-2に感染した宿主の細胞:
アンギオテンシンII受容体1 ⇒ JAK2 ・多数の免疫細胞:  サイトカイン受容体を使用 ⇒ JAK2 いずれも JAK2をシグナル伝達のために使用している ⇒ JAK阻害薬が、COVID-19を改善する可能性 Seif, Int Arch Allergy Immunol 181 467 2020 
 
 

👉COVID-19に対する内分泌領域薬剤

唯一証拠があるのは、 重症患者へのデキサメタゾン 候補薬(中等度の関連性 証拠としては不十分) ・抗アンドロゲン ・スタチン ・N-アセチルシステイン ・ACE阻害薬 ・ARB ・直接TMPRSS-2阻害薬 (ナファモスタットなど) Cadegiani, BMC Endocr Disord 20 149 2020 
 
 

👉バリシチニブとCOVID-19  バリシチニブは、

RAやアトピー性皮膚炎の治療に

承認された選択的JAK1 / JAK2阻害薬である バリシチニブが

COVID-19におけるARDSの

潜在的な治療法となりうる可能性が

示唆されている。 Richardson, Lancet 2020 Seif, Int Arch Allergy Immunol 181 467 2020 

 
 

👉メトトレキサート(MTX)

MTXは、葉酸拮抗薬:

⇒プリン体の合成を阻害

関節リウマチや乾癬性関節炎の治療に使用されている

MTXは、JAK/STAT阻害作用も有する

⇒ 

・炎症性サイトカン IL-1、IL-12、TNF-αの産生↓

・抗炎症性サイトカイン IL-4、IL-10の産生↑ Thomas, PLoSOne 2015 

 
 

👉ラムダ・カラギーナン(λ-GGN)

インフルエンザウイルスと SARS-CoV-2に対する 抗ウイルス活性 蛍ルシフェラーゼレポーター遺伝子を持つ 偽ウイルスを作成 ⇒ 培養Vero細胞に添加した λ-GGNは、濃度依存的に それぞれのウイルスの細胞への侵入を 抑制した Jang SciRep 11 821 2021 


画像


👉イソトレチノイン

は、 COVID-19で過剰発現し、 疾患の進行に寄与する 初期応答炎症誘発性サイトカイン(IL-6・TNFα)の 過剰産生を減少させることにより、 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2感染における 炎症とウイルス侵入の両方を 強力に阻害する可能性がある

Elkazzaz  Front Immunol 2021


👉イオタカラギーナン

・SARS-CoV-2スパイク偽型レンチウイルス(SSPL) ・患者由来SARS-CoV-2(複製能力のある) に対するin vitroデータ ⇒ イオタカラギーナンの投与が SARS-CoV-2感染の 効果的かつ安全な 予防または治療である可能性が示唆される M-Kruz PLoS One 16 2021




👉ウミフェノビル(アービドール)

は、 インフルエンザや その他の呼吸器ウイルス感染症の治療薬として ロシアと中国で承認された薬剤 SタンパクとACE2の相互作用を標的とし、 膜融合を阻害することができる 臨床効果: 肯定的なデータと否定的なデータあり Hu  Nat Rev Microbiol 19 141 2021


👉ファビピラビル

日本で開発された抗インフルエンザ薬の
ファビピラビルは、 中国、ロシア、インドで COVID-19の治療薬として承認されている 中国の臨床試験:胸部画像上の病状改善の兆候を↓ ウイルスクリアランスまでの時間↓ Cai 2020 日本からも予備的な報告あり(対照群なし) Hu Nat Rev Micorobiol 2021


👉トシリズマブとサリルマブ

関節リウマチを含む様々な種類の関節炎や サイトカイン放出症候群に使用されてきた 2種類のIL-6受容体特異的抗体 小規模な非対照試験において、 サイトカインストームを弱め、 重症のCOVID-19の治療に 有効であることが示された Xu 2020 Hu Nat Rev Micorobiol 2021


👉エクリズマブ

は、 炎症誘発性補体タンパク質C5を阻害する 特異的モノクローナル抗体である 予備的な結果: 炎症マーカーとCRPレベルを 低下させることが示されており、 重度COVID-19の治療選択肢 となる可能性が示唆された Diurno 2020 Hu Nat Rev Micorobiol 19 141 2021


👉ベバシズマブ

は、 重度のCOVID-19患者の肺水腫を 軽減する可能性のある 抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬である 発熱日数に関係なく、 ベバシズマブ治療後3日以内に 14人中13人の発熱患者(93%)で 発熱が急速に軽減する現象が観察された Pang Nature 2021 Hu Nat Rev Micorobiol 19 141 2021












👉I型インターフェロン(IFN)

In vitroのデータでは、 SARS-CoV-2はSARS-CoVより I型IFNに感受性が高い ⇒ COVID-19の早期治療に I型IFNが有効である可能性が示唆される 中国では、インターフェロン-αの吸入が COVID-19治療ガイドラインに 含まれている Hu Nat Rev Microbiol 19 141 2021


👉モノクローナル抗体

(mAb) 入手可能しにくく 増やせないCOVID-19回復期血漿と比較し、 大量に増やすことが可能 mAbの中和エピトープは、 ワクチン設計に重要な情報を提供する 欠点  コストが高く、製造能力が限られており、 バイオアベイラビリティーの問題もある Hu Nat Rev Microbiol 2021


👉アジスロマイシン

SARS-CoV-2に対し、

様々な抗ウイルス剤および免疫調節剤が 潜在的な治療法として 提案されてきた。 アジスロマイシンは その両方の特性を示すため、 治療上、役割を果たす可能性がある。 E-Esnal Expert Rev Anti Infect Ther 19 147 2021


👉アナキンラ

COVID-19患者の一部では、 インターロイキン1(IL-1)が 増加していることが報告されている IL-1受容体拮抗薬である アナキンラを用いて IL-1を遮断 ⇒ COVID-19患者の 炎症亢進と呼吸困難の軽減に 有望な結果が得られている (NCT04324021) Chung Adv Drug Deliv Rev 170 1 2021

👉多能性間葉系幹細胞

(MSC) ・抗炎症作用がある ・サイトカインストームを緩和し  肺上皮の損傷を修復し、  肺胞液のクリアランスを促進する ・いくつかの第I相および第II相臨床試験:  ARDS患者に対する  MSC療法の  安全性と有効性が確認されている Chung Adv Drug Deliv Rev 170 1 2021

👉ワクチン

は ① 個人の健康管理のために必要 ② 集団免疫を達成するために必要   ⇒ 全人口の70%以上に接種する必要性がある 最も安全で 費用対効果の高い方法であり、 これからも出現が予想される変異株に 対抗するための最良の選択肢である Chung Adv Drug Deliv Rev 2021


👉スプートニクV

初期の不確実性にもかかわらず 「非常に効果的」であり 60か国近くで使用が許可されている しかし、ワクチン製造そのものは ロシアの得意分野ではない 今年計画されているスプートニクVの 5億回分の製造のほとんどは、 インドで行われる予定 Dobrovidova, Science 4月 6日 2021


👉SARS-CoV-2は、

体液性および細胞性免疫応答を誘発する

感染後、強いB細胞反応が生じ、

・5~7日目にはIgM抗体とIgA抗体、 ・7~10日目にはIgG抗体 が 検出される 抗体とT細胞反応の強さは、 COVID-19感染者の間で一様ではなく、 疾患の重症度に影響される。 Fergie  Front Immunol Mar 19 2021

👉SARS-CoV-2におけるSタンパク質のRBD

⇒ ACE2受容体へ結合する この部位に対する中和抗体を誘導すると ⇒ ACE2受容体へのウイルスの結合を阻害する ⇒ 宿主細胞へのウイルス侵入を防ぎ、   伝播、拡散を抑制する ※ RBD:ワクチン設計上、主要な標的となる Chung Adv Drug Deliv Rev 2021


👉2種類のmRNAワクチン

(ファイザーとモデルナ)は、 COVID-19に対して 約95%のワクチン有効性を示した 自然感染と同様のポリクローナル抗体を誘発した これらのワクチンは、 わずかな減少はあるものの、 様々な変異体に対する幅広い 中和抗体活性を示している Fergie  Front Immunol Mar 19 2021

👉ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)

ヘパリン+血小板第4因子(PF4)の複合体 に対する抗体が稀に産生される ⇒ 血小板活性化 ⇒ 血栓症+血小板↓ アストラゼネカ・COVID-19ワクチンは、 似た機序で、稀に血栓症+血小板↓を トリガーしてしまう可能性(VITT) Kupferschmidt Science 4.11 2021

👉VITT(血栓・血小板↓)
EUでは、Vaxzevria(AZ社ワクチン) 被接種者3400万人中で 222人以上のVITT(血栓・血小板↓)発症が 疑われる 米国 J&Jワクチン 被接種者680万人中  6名の血栓症 (=VITTであるか未確認 明確な因果関係不明) ⇒ 米国 南ア EUにて接種を一時中止 BBC News 4.14 G-Vogel Science 4.13 2021

👉AZ社アデノウイルスベクターワクチン

1回の投与量に含まれる
約500億個のウイルス粒子のうち、 幾つかは壊れてDNAを放出する可能性がある DNAは負の電荷あり⇒正の電荷を帯びるPF4と結合 ⇒ この結合物に対する抗体産生  ⇒ VITT発症 と推測 by Greinacher Kupferschmidt Science 4.11 2021


👉マシチニブ

経口チロシンキナーゼ(c-kit)阻害剤 犬の肥満細胞腫の治療に使用されている ヒトでは、癌、喘息などに臨床試験中 臨床的に安全な1,900の薬のライブラリから スクリーニングされた SARS-CoV-2メインプロテアーゼ (3CLpro)の活性を最も強力に阻害した Drayman, Science 7 20 2021

👉マシチニブ

K18-hACE2トランスジェニックマウス にSARS-CoV-2を鼻腔内感染させ ⇒ その後マシチニブを投与した 肺と鼻にて ウイルス力価の200倍を超える減少 肺の炎症の減少を示した 本薬は、懸念される 3つの変異株に対しても in vitroで有効だった(B.1.1.7など) Drayman Science 7 20 2021




すずひろクリニック(さいたま市) 


 

 

 

 

 

最終更新日:2021.1.17