2021.7.27-9.26 記載分
(初出 すずひろクリニックTwitter)
👉腸-肺軸
気道と消化管の間、
より正確には
肺と腸内細菌叢の間は
「クロストーク」している証拠がある ・腸⇒肺
腸内細菌叢の多様性と機能の低下は、
肺の免疫に影響を与える可能性がある ・肺⇒腸
肺の炎症は、
腸内毒素症を引き起こす可能性がある Oliveira, Front Immunol 2 24 2021
肺と腸内細菌叢の間は
「クロストーク」している証拠がある ・腸⇒肺
腸内細菌叢の多様性と機能の低下は、
肺の免疫に影響を与える可能性がある ・肺⇒腸
肺の炎症は、
腸内毒素症を引き起こす可能性がある Oliveira, Front Immunol 2 24 2021
👉COVID-19の病因における
腸-肺軸
SARS-CoV-2は、呼吸器系の細胞に感染しやすい
SARS-CoV-2の侵入と複製の
もう一つの重要な標的臓器として
腸管があげられる
腸内細菌叢の乱れ、バリアーの損傷、
その結果としての炎症は、
COVID-19発症を促進する可能性がある
Oliveira, Front Immunol 2 24 2021
👉COVID-19で見られる主な胃腸症状は、
食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛など
・患者の小腸と大腸の生検
⇒腸上皮細胞に複製ウイルスが多く存在
Xiao 2020
・患者の糞便中に
感染性ウイルスが存在
※ 腸内がSARS-Cov-2の
活動や複製の場である可能性がある
Oliveira, Front Immunol 2 24 2021
👉消化管に発現したACE2
・腸の炎症や下痢を制御する機能
・食事性アミノ酸の捕捉、
抗菌ペプチドの発現調節、
腸内細菌叢の恒常性維持
に関連している Hashimoto Nature 2012
・SARS-CoV-2の侵入経路となりうる
⇒ 消化管ACE2の生理的機能↓ 炎症↑
Oliveira, Front Immunol 2 24 2021
👉腸内細菌叢は
肺間質細胞における
I型インターフェロン受容体発現に影響を及ぼす
⇒ IFN-α・IFN-β分泌を介して
ウイルス感染に迅速に反応し
初期のウイルス複製を抑える
※抗生物質⇒腸内細菌叢にダメージ
⇒IFNシグネチャー↓⇒初期のウイルス複製↑
Bradley 2019
Oliveira, Front Immunol 2021
👉腸内細菌叢からのシグナル
感染初期に肺粘膜の上皮細胞や自然免疫細胞の 抗ウイルス状態を高め ウイルスの複製を制御する ⇒ 感染後期の細胞性・体液性免疫も↑ 有益な腸内微生物は 粘膜免疫系にプラスの影響を与え 呼吸器系ウイルスに対する効率的な反応↑ Oliveira, Front Immunol 2 24 2021👉・SARS-CoV-2⇒腸管上皮細胞に感染
⇒腸内細菌叢の異常↑、腸炎、胃腸症状を誘発する
・2型糖尿病、肥満、高血圧、
冠動脈疾患、高齢者では
⇒ 腸内細菌叢の異常↑
⇒ SARS-CoV-2に対する炎症性免疫反応の制御↓
これらの疾患を持つ患者の感染↑、拡散↑、重症化↑
Oliveira, Front Immunol 2021
👉COVID-19の腸内細菌叢
・減少 ビフィズス菌 フェカリバクテリウム ・増加 放線菌、ロシア、連鎖球菌、ベイロネラなどの日和見属 コプロバシラス クロストリジウム・ラモサムなど コリンセラ・アエロファシエンスなど カンジダなどの真菌 Gu 2020 Oliveira, Front Immunol 2 24 2021👉プロバイオティクスや
プレバイオティクス投与による
ウイルス性呼吸器感染症に対する
効果を評価する研究数↑
プロバイオティクス⇒
インフルエンザウイルス
ライノウイルス
RSウイルス
に対する実験的研究
メタアナリシス
臨床試験によって裏付けられている
Oliveira, Front Immunol 2 24 2021
👉ロングコビッド
・症状のあるCOVID-19患者の約3人に1人は 発症から12週間経っても症状が残っている ・消耗させる症状は、広範囲で多系統であり 主に変動性または再発性である ・Twitter、FBなどのSNSを通じて 患者によって定義された 歴史上最初の病気である可能性 Alwan, Science Jul 30 2021👉果実抽出物
健康を維持するための重要な源であり、 健康を促進する生物活性物質を 豊富に含む免疫ブースターとして 様々な病気の治療に役立っている 果実抽出物(フルーツジュースなど)は、 免疫調節特性を持ち、 免疫刺激剤としての 体の免疫力を改善する Santhi Food Measure Aug 3 2021👉フルーツジュースや新鮮な果物を定期的に摂取
⇒ ウイルス性疾患などの病気から身を守る 様々な要因により体内で 過剰に生成されたフリーラジカルは 慢性疾患につながる酸化ストレスを引き起こす可能性 ⇒ 抗酸化物質を豊富に含む食用の果物を摂取 ⇒ 酸化ストレス↓ Santhi Food Measure 2021👉ザクロ
世界中の伝統的な医学システムにおいて 感染症や上気道感染症(インフルエンザなど) 様々な疾患の 治療に用いられてきた ・インフルエンザA 複製を阻害 不活性化 ・単純ヘルペスウイルス 複製を阻害 ・HIV-1⇒CD4およびCXCR4 / CCR5への結合を阻止 Santhi Food Measure Aug 3 2021👉プロトンポンプ阻害剤(PPI)
腸内感染の可能性が33%増加する 小腸内細菌異常増殖(SIBO)のリスク↑ 腸内の微生物の多様性を低下させる ・健康な胃の通常のpH(3以下) ⇒ ウイルス不活化する ・PPI⇒ 胃酸分泌↓ ⇒ ウイルス不活化しない Almario, Am J Gastroenterol Aug 25 2020👉SARS-CoV-2は
消化器系からも体内に侵入できる
腸管全体に発現しているACE2受容体を介して
腸細胞内に素早く侵入し複製する
SARS-CoV-2が消化管に定着すると、
胃炎、腸炎、大腸炎を引き起こす可能性
※胃酸は、消化器からの感染のバリアとなる
Almario, Am J Gastroenterol Aug 25 2020
👉COVID-19患者のほぼ半数が
同時に呼吸器にもウイルスが検出されない場合でも
糞便中にウイルスRNAが検出される
下水中のSARS-CoV-2レベルのモニタリング
⇒地域社会におけるCOVID-19患者や
入院のリードタイム指標となる可能性
※ 経口感染も主要な入り口の一つ
Almario, Am J Gastroenterol 2020
👉PPIの影響(米国)
2020年5月~6月 オンライン調査 53,130人の参加者 3,386人がCOVID-19テスト陽性 PPIを1日1回まで使用している人: 調整済みオッズ比 2.15(95%CI、1.90-2.44) 1日2回使用している人: 調整済みオッズ比 3.67(95%CI、2.93-4.60) Almario, Am J Gastroenterol Aug 25 2020👉胃食道逆流症において
1日2回投与のPPIは
1日1回投与に比べて
臨床的に意味のある効果をもたらさない
Zhang 2017
PPIを使用している患者の多くが
明確な適応症を持たないことから
PPIは臨床的に適応とされる場合にのみ、
最低有効量で使用すべきである
Almario Am J Gastroenterol Aug 25 2020
👉COVID-19におけるヘルパーT細胞サブセット
①群 COVID-19 ICU入室患者40名
②群 健常者40名
を比較した。
①群では、
Th17細胞の反応↑
Treg細胞の反応↓
死亡例では、Th17/Treg比が、高かった。
⇒ 患者の死亡に炎症が重要な役割を
果たしている
Sadeghi, J Cell Physiol 236: 2829, 2021
👉ウイルス感染などの細胞内感染では
T細胞の反応: Th1およびTh17の表現型にシフト
Th17細胞:RORγt(転写因子)と
インターロイキン23(IL-23)によって分化
⇒ IL-17産生⇒TNF-α、IL-6などの炎症性サイトカインの産生を誘導
⇒ 抗ウイルス作用を発揮する
Sadeghi, J Cell Physiol 236: 2829 2021
👉制御性T(Treg )細胞
抗炎症作用を持ち IL-10、IL-35、TGF-βなどの 抗炎症性サイトカインを産生して 免疫系のバランス維持に関与する 免疫系制御細胞である (=免疫系にブレーキをかける細胞)。 Treg細胞の発生・分化には FoxP3転写因子が関与している Sadeghi, J Cell Physiol 2021👉COVID-19患者では、
健常群に比べ
Th17細胞の数が
顕著に増加していた
Th17細胞関連サイトカイン(IL-17およびIL-23)
分泌量は、患者の方が↑
※ IL-17は、炎症反応を引き起こすサイトカイン
※ IL-23は、Th17細胞の分化・増殖に関与する
サイトカイン
Sadeghi, J Cell Physiol 236 2829 2021
👉COVID-19患者末梢血のTreg細胞
・Treg細胞の頻度: 有意に↓ ・FoxP3転写因子の遺伝子発現↓ ・Treg細胞のIL-10とTGF-β遺伝子発現↓ ・末梢血単核球の培養上清において IL-10分泌↓ TGF-β分泌↓ ⇒ 免疫系の暴走にブレーキが十分かけられていない Sadeghi, J Cell Physiol 236 2829 2021👉LD: SARS-CoV-2排出期間が長い患者 (45日以上)
SD: 短い患者 (21日未満)
の比較
LDにて SDに比べ低値を示したサイトカイン
・IL-2
・TNF-α
・リンフォトキシン(LT)-α
・PDGF-BB
・CCL5
・MIF
など
※ LD:ウイルス排除に必要なサイトカイン分泌が
少ない
Yang, Nat Commun 12 3501 2021
👉LD: SARS-CoV-2ウイルス排出期間が長い患者(LD)
SD: 短い患者(SD)
細胞レベルにて
LD: ナチュラルキラー(NK)細胞↓
CD14+単球↓
Treg細胞↑
LDのT細胞とNK細胞: SDより活性化されていなかった。
※ 細胞レベルにて、効率的ウイルス排除↓、免疫抑制↑
Yang, Nat Commun 2021
👉ウイルス感染⇒リボソーム生合成の低下は
インターフェロンや抗体産生の低下など 免疫応答の低下の一因となる可能性がある SARS-CoV-2の排出期間が長い患者で リボソームタンパク質(RP)遺伝子の発現↓ その関連経路の発現も↓ RPレベル↓・感染期間↑:逆相関していた Yang, Nat Commun 2021👉CD8+細胞傷害性Tリンパ球は
ウイルスに感染した細胞に対する
細胞傷害に
重要な役割を果たしている
⇒ ウイルス排除に働く
SARS-CoV-2の排出期間が長い患者(LD)では
①細胞傷害性T細胞の疲弊スコア↑
②疲弊した細胞傷害性T細胞の数↑
⇒ ウイルス排出の持続に関連
Yang, Nat Commun 2021
👉SARS-CoV-2ウイルスの排出期間は
人により 著しく異なる
中央値20日 (範囲: 6日~105日)
武漢の病院における検討
LD群: ウイルス排出期間が長い患者 (45日以上)
中央値=57日(範囲:45〜100日)
SD群:(排出期間が短い 21日未満)
中央値=16日(範囲:3〜21日)
Yang, Nat Commun 2021
👉・Tregの上昇と
・細胞障害性T細胞の枯渇
を介した
独特の免疫抑制が
SARS-CoV-2感染における過剰な炎症を抑制し
宿主組織の損傷を防ぐのに重要な役割を果たしている
一方で
ウイルス排出期間↑
感染拡大のリスク↑
病院資源の消費↑
経済的コストの増大↑
につながっている
Yang, Nat Commun 2021
👉SARS-CoV-2感染におけるTregレベル
・免疫系の暴走の時期 低レベル (重症ほど↓↓) ※ ブレーキがかけられていない Sadeghi, J Cell Physiol 236 2829 2021 ・SARS-CoV-2排出期間が長い患者 高レベル ※ ブレーキがかけられ ウイルスの排除が進まない Yang, Nat Commun 12 3501 2021👉獲得免疫
(特異的なCD8 T細胞と特異的抗体)が
発動するまでの
制御されていない
非特異的な炎症とサイトカインの放出は
肺やその他臓器に壊滅的な損傷を与える可能性
初期の非特異的な炎症を抑える
⇒ 特異的な獲得免疫を形成するための
時間を確保できる可能性↑
Weir, Clin Med 20: e107, 2020
👉ビタミンD
Tregのレベルは
ビタミンDの補給によって
高めることができる
呼吸器感染症におけるビタミンDの重要性:
ビタミンDの低値
⇒ 肺炎やウイルス性上気道感染症のリスクを
有意に高めてしまう
低レベルのビタミンDは
炎症性サイトカイン(TNFαなど)
の増加にも関連する
Weir, Clin Med 20: e107, 2020
👉A型インフルエンザウイルスに暴露
⇒記憶制御T細胞(mTregs)が産生され
残存する
A型インフルに感染したマウスに
既感染のマウスからmTregsを注入
⇒体重減少・肺の炎症性浸潤が↓
女性は男性よりTreg細胞のレベルが高い
⇒COVID-19において女性の死亡率が低い
Weir, Clin Med 20: e107, 2020
👉ビタミンDによる感染防御効果
ヒトのマクロファージを刺激 ⇒ 酵素CYP27B1発現↑・ビタミンD受容体発現↑ ⇒ 循環している25Dから1,25Dの内因性産生↑ ① カテリシジンなどの抗菌タンパク質の発現↑ ② 細胞内病原体(結核・ウイルス)に対する防御↑ Bishop, JBMR Plus 5: e10405, 2021👉ビタミンDは、
主に自然免疫系を活性化して
感染症に対する即時反応を高める作用がある
獲得免疫系の活性も調節する
血清中の25D(=生体内におけるビタミンDの過不足の指標)の濃度が低いと
多発性硬化症、1型糖尿病、炎症性腸疾患
SLE、関節リウマチなどの発症リスク↑
Bishop, JBMR Plus 2021
👉CD4+T細胞に対する1,25Dの免疫調節効果
T細胞受容体シグナル ⇒ VDR発現↑ 1,25Dがあると、 ① Th17細胞の分化↓・組織へのホーミング↓ ② Th17細胞→Foxp3↑→Treg表現型に転換する ③ Tregの IL-10↑、TGF-β↑、CTLA-4↑、CD25↑ ⇒ 抗炎症表現型↑ Bishop, JBMR Plus 5: e10405, 2021👉ビタミンDによるシグナル伝達⇒抗ウイルス作用がある
ビタミンDレベルとCOVID-19の重症度を評価する
無作為化比較試験や大規模な集団研究は
まだ完了していないが、
ビタミンDがCOVID-19に対して
「保護効果」を発揮する可能性を
示唆する既存の証拠がある。
Bishop, JBMR Plus 5: e10405, 2021
👉COVID-19に対するEPAの効果
カナダのトロントにて 症状のあるCOVID-19患者100名が登録された (ランダム化非盲検試験) イコサペントエチル投与 (1日8g・3日間後、1日4g・11日間) 通常の治療を受けた患者と比較し 高感度CRPを有意↓・症状を改善した。 Kosmopoulos, iScience, Aug 26, 2021👉COVID-19に対するEPAの効果(続き)
FLU-PRO
インフルエンザ患者自身の報告による症状(結果)
インフルエンザ(様感染症)における
評価指標として使用される
個々の症状、重症度、持続期間 32項目からなる
EPA群 52%減少
EPAなし群 24%減少 P=0.005
Kosmopoulos, iScience, Aug 26, 2021
👉オメガ3脂肪酸1g/日
(EPA400mg+DHA200mgを含む)を
COVID-19重症患者に投与した
(2重盲検ランダム化試験 イラン ラジ病院)
1ヶ月生存率
・投与群28例 21%
・非投与群73例 3% P = 0.003
※ 投与群の方が、有意に1ヶ月生存率が高かった
Doaei, J TrenslMed, 19:128, 2021
👉オメガ3不飽和脂肪酸(続き)
COVID-19・ICU患者において
BUN↓(35.2 vs 43.2、P = 0.03)
Cr↓(1.29 vs 1.68、P = 0.02)
血清K↓(4.00 vs 4.1、P = 0.01)
尿量が増加した(2,101 ml vs 1,877 ml、 p = 0.01)
※ 腎障害の進行に対する保護効果(の可能性)
Doaei, J TrenslMed, 2021
👉 腎障害
COVID-19患者の多くに
腎障害が発生している
腎障害の機序
・血栓↑→腎血管に微小血栓
・炎症促進状態・アンジオテンシンII→高血圧
・腎臓にて炎症性サイトカインの発現↑
・自然免疫反応→内皮機能障害↑
※ 重症患者の腎機能を改善する補助療法が大切
Doaei, J TrenslMed, 19:128, 2021
👉栄養素とCOVID-19
ビタミンC、D、E、 亜鉛(Zn)、セレン(Se)、 オメガ3脂肪酸 などの栄養成分は、 免疫調整作用があることが確立されている 感染症にも効果がある COVID-19の管理に役立つ可能性がある Shakoor, Maturitas 143: 1, 2021👉ビタミンC
・活性酸素種を除去する抗酸化物質として働く
→ タンパク質、脂質、ヌクレオチドなどの
生体分子を酸化的損傷や機能障害から保護する
・白血球中に蓄積される→血漿中の50〜100倍に↑
・感染症にかかる→白血球中のビタミンCは
急速に利用される
Shakoor, Maturitas 2021
👉ビタミンCの補給
・呼吸器系の防御機構をサポートし
ウイルス感染を予防し、感染期間や重症度を↓
・抗ヒスタミン作用→ インフルエンザ様症状を↓
・肺炎や結核などの急性呼吸器感染症の患者は
血漿ビタミンC濃度↓
Cを補給→高齢者の肺炎の重症度と期間を↓
Shakoor, Maturitas 2021
👉COVID-19
症状進行に伴ってサイトカインストーム↑
これに対抗する手段として
ビタミンCが示唆されている
ビタミンC
・炎症性サイトカイン(TNF-αなど)のレベルを↓
・抗炎症性サイトカイン(IL-10)を↑
1日1gのビタミンCを摂取
→末梢血単核細胞からのIL-10分泌量↑
Shakoor, Maturitas 2021
👉抗酸化物質であるビタミンEとセレンは、
抗酸化防御の主要な構成要素である
これらの栄養素のいずれかが欠乏→
免疫反応やウイルスの病原性が変化する
中国の各省における17都市における
毛髪セレン濃度の違いと
COVID-19の治癒率との間には相関関係がある
Zang, 2020
Shakoor, Maturitas, 2021
👉セレンとビタミンE
ともに抗酸化経路⇒
・T細胞数↑
・マイトージェン反応性リンパ球増殖↑
・IL-2サイトカイン分泌↑
・NK細胞活性↑
感染リスクの低減に作用する
これらの補給
呼吸器感染症への抵抗力を高める可能性
(COVID-19への効果に関する情報は限定的)
Shakoor, Maturitas 2021
👉セレンの生物学的効果は
25種類のセレノプロテイン
(セレノプロテインP、グルタチオンペルオキシダーゼ:GpXなど)に依る
GpX-1レベル↓ ⇒ 活性酸素種の産生↑
⇒NF-κBの転写が活性化
⇒酸化ストレス↑・細胞のアポトーシス↑
※ セレン不足⇒炎症↑
Jahromi, BMC Infect Dis 21 899 2021
👉セレノプロテインPとGpXのレベルは
欧州の多くの国でボーダーラインかそれ以下
Jahromi 2021
以下 eJIMサイト
日本人は、セレン摂取量が
平均約 100 µg/日(十分摂っている)
セレン不足のある可能性
・腎臓透析中
・HIV キャリア
・セレン含有量が低い土壌で育った
地元の食物のみ食べている人
👉COVID-19と血清セレン値
① 重症度別 ・軽症群 47.1±20.8ng/ml ・中等症群 47.4±25.6 ・重症群 29.9±11.5 ↓ 有意に低値を示した (vs軽症p = 0.002 vs中等症p = 0.02) ② 単純線形回帰モデル 有意な負の相関があった (標準化係数=-0.28、P=0.01) Jahromi, BMC Infect Dis 2021👉COVID-19症例における
血清セレン濃度(対数変換)とCRP
有意に負に相関した r=-0.41(p <0.001)
※ 血清セレン濃度↑⇒CRP↓
セレン↓ ⇒
① 抗酸化力↓、酸素フリーラジカルの蓄積↑
② 炎症メディエーターである
IL-12、iNOS、IL-1β、NF-κBの発現↑
Jahromi, BMC Infect Dis 2021
👉COVID-19における一過性の味覚異常
① 最も可能性の高い原因 ウイルスの末梢神経向性と 味蕾・嗅上皮への直接的な毒性 ②その他の要因 ・唾液の質や量の異常 ・炎症性サイトカイン ・アンジオテンシンIIの蓄積 ・全身性疾患 ・低亜鉛血症 など Mahmoud Eur Rev Med Pharmacol Sci 25 1114 2021👉亜鉛欠乏症の高リスク群
・ ベジタリアン/ビーガン ・ アルコール・穀物の摂取量が多い ・ 医療処置(血液透析、減量手術、放射線治療)あり ・ 感染による下痢・嘔吐 ・ アトピー性皮膚炎 ・ 慢性腎臓病 ・ 薬剤(利尿薬 ACE阻害薬など) Joachimiak PLoS Negl TropDis 15 e000889 2021👉亜鉛欠乏症の症状
・免疫機能の低下 ・味覚異常 ・精神的な無気力 ・食欲不振 ・性腺機能低下 ・認知障害 ・脱毛 ・下痢 ・インポテンツ ・目や皮膚の病変 ・創傷治癒遅延 ・発育発達遅延 COVID-19の重要な焦点 =免疫活動と健康⇒しばしば亜鉛と関連している Joachimiak PLoS Negl TropDis 2021👉COVID-19患者47人中27人(57.4%)が
亜鉛欠乏症
亜鉛欠乏群27名 vs 非欠乏群20名
・合併症の頻度↑ p = 0.009
・急性呼吸窮迫症候群↑ 18.5%対0% p=0.06
・副腎皮質ステロイド療法↑ p=0.02
・入院期間↑ p = 0.05
・死亡率↑ 18.5%対0% p=0.06
Jothimani, Int J Infect Dis100 343 2020